著者
杉浦 八十生 井澤 菜緒子 根本 悦夫 信田 政子 加勢田 靜 井野元 智恵
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.530-536, 2012 (Released:2012-07-20)
参考文献数
21

症例は40歳代, 女性. 2011年3月, 胸部圧迫感を訴え, 胸部CTで前縦隔腫瘍, 両肺に多発結節を認めた. 2010年7月のCTでは病変はなく, 2011年1月の胸部X線写真でも明らかな病変は指摘できず, 急速な増大が考えられた. 既往歴に不正性器出血および月経困難症があった. 画像診断において, 骨転移, 子宮頸部および体部に複数の腫瘍が存在した. 前縦隔腫瘍および子宮腫瘍に対して針生検を施行し, 同一組織像であり, 胸腺未分化がん, 多発肺転移・子宮転移・骨転移と診断された. 急速に増大した胸腺未分化がんの子宮・骨転移に対する疼痛管理において, 骨転移に対してはオピオイドが有効だったが, 子宮収縮による内臓痛には無効であった. しかし, 子宮平滑筋への弛緩作用により塩酸リトドリンが著効した1例を経験したので報告する.