著者
倉爪 真一郎
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.33, pp.26-30, 2007-03

ミシェル・フーコー晩年の倫理思想が,終末期医療における患者-家族-医療従事者関係の構築という課題にどう答え得るか,これが本稿の主題である。そして2つの可能性が導き出された。第一に,自己決定権(自律)と死(固有性)の関係は,死(真理)に到達するために主体をどう変化させるか,という倫理の問題として議論され得るということである。第二に,医療従事者への信頼と患者の死(固有性)を尊重するという贈与-感謝関係は,言葉を通しての倫理的関係として議論され得るということである。