- 著者
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先﨑 章
- 出版者
- 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
- 雑誌
- The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.4, pp.270-273, 2017-04-18 (Released:2017-06-16)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
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復職や就労の予後を予測できる単一の指標はない.外傷性脳損傷の場合,就労の予後と関連する可能性があるものとして,年齢,教育レベル,受傷前の職業レベル,重症度(昏睡期間の長さ,外傷後健忘期間,入院期間),現状の機能,うつや不安の程度,性別や人種,さまざまな神経心理学検査結果などがあるが決定的なものはない.就労支援に際しては,成功あるいは失敗に至り得る多角的な要因を念頭に置きつつ,必要に応じて多職種で連携して,個別性のある柔軟な介入,長期的な切れ目のない支援が必要である.加えて,小児期発症の高次脳機能障害者に対しては,青年期や就労前時期段階での就労準備支援が必要である.加えて日本での障害者の就労支援は,ハローワーク,地域障害者職業センター,障害者就業・生活支援センター,障害者職業能力開発校,就労移行支援事業所,就労継続支援事業所(A型・B型)が連携して行っている.支援において大切なことは,連携支援,障害認識,周囲の理解とその対応,アセスメントである.職場での配慮事項として,指示の出し方の工夫,本人の特徴に合わせた業務内容,担当者を決める,易疲労性への配慮がある.