著者
光森 正士
出版者
奈良大学文学部文化財学科
雑誌
文化財学報 (ISSN:09191518)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.15-54, 1998-03

初期仏教々団、つまり僧伽は釈尊を中心として比丘、比丘尼らで構成されていた。しかし、後には在家の人びと優婆塞、優婆夷なども仏教に帰依するものが多くなって次第に大きく発展した。初期教団にては比丘や比丘尼たちは一定の土地に留まり、固定的に生活するというのではなく、常に各地を転々とする移動集団であり、絶えず移住する生活の連続であった。このことはある地域に対する執着を離れることにもなり、また、地域に密着する私的感情を断ち切ることであり、愛着をつのらせることも避けた。