著者
児玉 憲典 阪本 良男
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.221-231, 1975-12-30 (Released:2017-02-13)

性的倒錯者の中の同性愛者は, ロールシャッハ検査に, 特徴的な反応を示すことが知られている。しかし, その研究は, 大部分が男子同性愛者に関するものであり, 女子同性愛者のロールシャッハ検査の反応については, 推測の域を出ないというのが現状である。最近われわれは, 24歳と30歳の女子同性愛者の治療を行い, ロールシャッハ検査を行う機会を得たので, その詳細なプロトコルから, ロールシャッハ検査の反応内容が, 女子同性愛者の臨床像をどの程度反映するかについて検討した。その結果, 片口のロールシャッハ同性愛指標では, それほど高い得点は得られなかつたが, 男子同性愛者の場合と同様に, きわめて特徴のある反応が示された。