著者
入江 遠
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.1179-1195, 1969
被引用文献数
3

紅藻(フジマツモ科)から7種の新しい含臭素化合物を単離し,それらの化学構造を明らかにした。すなわち,2種のプロムフェノール:2,3-ジブロム-4,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド〔2〕および3,4-ジブロム-5-(メトキシメチル)カテコール〔3〕;2種の含臭素セスキテルペノイド:ローリンテロール〔14〕,C<SUB>15</SUB>H<SUB>19</SUB>OBr,およびローレニソール〔17〕,C<SUB>15</SUB>H<SUB>19</SUB>OBr;および3種の含臭素環状エーテル:ローレンシン〔18〕,C<SUB>17</SUB>H<SUB>28</SUB>O<SUB>3</SUB>Br,ローレアチン〔19〕,C<SUB>15</SUB>H<SUB>20</SUB>O<SUB>2</SUB>Br2,およびイソローレアチン〔20〕,C<SUB>15</SUB>H<SUB>20</SUB>O<SUB>2</SUB>Br2,である。また,これらの含臭素化合物に関連のある新物質,たとえばローレン〔9〕,C<SUB>15</SUB>H<SUB>20</SUB>,およびデブロムローリンテロール〔15〕,C<SUB>16</SUB>H<SUB>20</SUB>O,などを海藻から単離した。さらにアプリシン〔11〕,アプリシノール〔12〕,およびデブロムアプリシン〔13〕が海藻の成分として見いだされた。なお,これら含臭素化合物の生合成についての試案を提出した。