- 著者
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八代 英子
國府田 正雄
村上 敏史
田口 奈津子
- 出版者
- 日本緩和医療学会
- 雑誌
- Palliative Care Research (ISSN:18805302)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.3, pp.535-538, 2015 (Released:2015-08-12)
- 参考文献数
- 9
【緒言】頸椎転移による強い痛みに対し,ハローベスト装着により良好な痛みの緩和が得られ,自宅退院が可能となった症例を経験したので報告する.【症例】76歳,男性.食道癌術後,リンパ節再発に対し化学療法施行中,頸椎転移を認めた.徐々に悪化する右頸部から背部への痛みに対し,薬物療法,放射線療法施行したが改善なく,さらにオピオイドによる強い副作用のため,著明にADLが低下した.症状緩和目的にハローベストを装着した.痛みは軽減し,オピオイドは不要となり,転院後に自宅退院,約2カ月間自宅療養をされた.【考察】ハローベスト装着は,標準治療にても疼痛緩和に難渋する症例に,今後も検討したい治療法である.本邦では,自宅療養中の装具装着は一般的ではなく,患者・家族の精神的負担が大きいことが予想される.重篤な合併症の報告もあり,整形外科医との連携が必須であり,患者,家族とともに慎重に適応を検討する必要がある.