著者
根来 一夫 八木 三郎 工楽 英司
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.1189-1192, 1961-07-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8
被引用文献数
5

一般に一定温度において尿素付加物を生成するには,必要な最小限度の炭素鎖の長さがあり,その最小限の炭素数は尿素に付加する反応体の化学的構造と物理的な形状によるものと考えられている。パラフィン系炭化水素の場合には,常温では炭素数6個のヘキサン以上のものが尿素と付加物を生成することが明らかにされているが,ケトン類の場合には,最小の炭素数のアセトンから尿素と付加物を生成するといわれている。しかも, アセトンはメタノールと同じように賦活剤とされているが,アセトン自体も尿素に付加してくるといわれているので,アセトンがどのような挙動をするのか検討を加えた。著者らは固体尿素あるいは尿素飽和水溶液とアセトンとの反応について検討し,尿素1molに対してアセトン5molが存在するときに,アセトン-尿素付加物の収量が最大を示すことを見出した。さらに,Fischer合成油を尿素処理する際に, アセトンが存在すると, アセトン- パラフィン- 尿素付加物を生成し, かつパラフィンの付加は直鎖状パラフィンだけにとどまらず,多量のイソパラフィンが付加してくることを認めた。