著者
八木沢 芙美
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.105-109, 2012 (Released:2013-03-30)
参考文献数
27

液胞は,細胞内分解をはじめとする多様な機能を持つ.液胞は,小胞体やゴルジ体から新しく合成されうる(Hoh et al. 1995, Catlett and Weisman 2000).それにも関わらず,液胞は,細胞分裂時に母細胞から娘細胞へと分配される.液胞の分配は,細胞が分裂直後から正常に機能するために必要であると考えられる.これまでに知られている液胞の分配機構は,V型ミオシンとアクチンに依存するものであった.これに対し,アクトミオシン系を持たない原始紅藻Cyanidioschyzon merolaeでは,液胞がミトコンドリアに結合することで液胞の分配がおこる.本稿では,真核生物で知られる液胞の分配機構を紹介し,今後の展望について述べる.