著者
永田 典子
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-33, 2011 (Released:2012-03-27)
参考文献数
56

細胞質遺伝の最初の報告は,オシロイバナにおける母性遺伝と,ゼラニウムにおける両性遺伝の同時掲載であった.母性遺伝の成立には,花粉の雄原/精細胞から物理的にオルガネラが排除される「物理的排除」に加えて,オルガネラDNAが選択的に分解される「選択的消化」のシステムが特に重要である.色素体とミトコンドリアが,母性遺伝するか両性/父性遺伝するかの運命の分岐点は花粉第一分裂直後であり,雄原細胞内のオルガネラ内のDNAは分解されるか増幅するかのどちらかに二極化する.本稿では,被子植物にみられる細胞質遺伝の複雑さと多様性を念頭において解説する.
著者
水多 陽子 栗原 大輔 東山 哲也
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.25-30, 2014 (Released:2015-04-21)
参考文献数
24

生命現象を生きている状態,かつ生体内で観察することは極めて重要である. 近年,生命科学の分野では,様々な蛍光プローブを用いたイメージング技術の発展や,撮像機器の開発により,細胞や組織内外における分子のリアルタイムな挙動が次々と明らかになってきた.2光子励起顕微鏡は深部到達性,低浸襲性といった,生体深部のイメージングに適した特性を持つ顕微鏡である.我々は植物の深部で起こる生命現象を「生きたまま」解析するため,2光子顕微鏡を用いて植物組織の深部イメージングに挑戦してきた.本稿では,最新の2光子励起顕微鏡を用いた植物深部のin vivoイメージングについて,その特徴と利点を簡単に紹介したい.
著者
竹内 美由紀
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.19-23, 2014 (Released:2015-04-21)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

二次イオン質量分析法(SIMS)による元素イメージングの生物試料分析への利用が近年広がっている.元素の検出感度が高くすべての元素が検出可能であり,また高い二次元分解能を持つSIMS装置であるNanoSIMSを用いたイメージングでは,電子顕微鏡での形態観察に近い高分解能で元素あるいは同位体分布を分析することができる.そのため安定同位体による標識物質の利用と合わせて,動物細胞や微生物内での物質移動や代謝の定量解析等において様々な成果を挙げている.本稿ではNanoSIMSについて装置の概要と元素イメージングの生物試料への応用について紹介する.
著者
森山 陽介 河野 重行
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.3-9, 2011 (Released:2012-03-27)
参考文献数
40

動物や植物,原生生物を含む多くの真核生物において有性生殖の際にミトコンドリアの母性遺伝(片親遺伝)現象が普遍的にみられる.これは生殖細胞が同型であるか異型であるかを問わない.母性遺伝について最も受け入れられている仮説は,受精前あるいは受精後にオルガネラDNAが選択的に分解されるというものであった(Kuroiwa et al. 1982, Kuroiwa 1985).我々が真正粘菌を用い,片親由来のミトコンドリアDNA(mtDNA)が接合子の形成後に選択的に分解されることを明らかにしたことは,この仮説の直接的な証明となった.また,粘菌の性(接合型)は二極に収斂しておらず複数存在することから,性依存的にmtDNAが選択的に分解される機構について多くの手がかりが得られる.本総説では真正粘菌を用いることで明らかになったミトコンドリアの母性遺伝の機構について紹介したい.
著者
野崎 久義
出版者
The Japanese Society of Plant Morphology
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.19and20, no.1, pp.55-64, 2008 (Released:2011-03-01)
参考文献数
33

要旨:生物の生殖は,“性”が誕生して以来,雌雄の配偶子が同じ大きさの同型配偶(単細胞藻類,粘菌類など),雌の配偶子が少し大きな異型配偶(ハネモなど),そして更に大型で運動能力のない「卵(雌性配偶子)」と小型で運動能力のある「精子(雄性配偶子)」が受精する卵生殖(ボルボックス,高等動植物など)へと進化したと古くから推測されていた.しかし,卵と精子をつくるメスとオスの性が同型配偶のどのような交配型(性)から進化したかは全く不明であった.最近我々は雌雄が分化したボルボックスの仲間(プレオドリナ)で,オスのゲノムに特異的な遺伝子(OTOKOGI)を発見し,その起源がクラミドモナスのマイナス交配型(優性交配型)の性を決定するMD遺伝子と同じであることを明らかにした.このことは,“メス”が性の原型であり,“オス”は性の派生型であることを示唆する.オス特異的遺伝子“OTOKOGI”の発見はこれまでに全く未開拓であったメスとオスの配偶子が分化した群体性ボルボックス目における性の進化生物学的研究の突破口となるものと思われる.即ち,群体性ボルボックス目における性特異的遺伝子を目印にした性染色体領域の解読および性特異的遺伝子の機能解析を主軸とする新しい進化生物学がこれから始まるのである.
著者
野口 哲子
出版者
The Japanese Society of Plant Morphology
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.51-60, 2001 (Released:2010-06-28)
参考文献数
22

要旨:ゴルジ体から小胞体系(ER系)への逆行輸送が植物細胞でも存在する証拠を得る目的で、ER系とゴルジ体が近接している藻類細胞二種(単細胞緑藻Scenedesmus acutusとBotryococcus braunii) を用い、brefeldin A(BFA)がゴルジ体とER系の微細構造に及ぼす影響およびBFA処理によってゴルジ体標識酵素のチアミンピロフォスファターゼがER系に移行するか否かを細胞周期のいろいろな時期について調べた。その結果、BFAによって誘導されるゴルジ体からER系への逆行輸送は哺乳類の細胞だけに特有な現象ではなく、植物細胞にも共通の現象であることが示唆された。この逆行輸送は、二種の藻類ともに、間期の細胞では誘導されたが、分裂期の細胞では誘導されなかった。更に、この逆行輸送にはアクチンフィラメント系が関与し、微小管系が関与している哺乳類の細胞とは異なる機構であることが判った。
著者
小笠原 希実
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.13-17, 2014 (Released:2015-04-21)
参考文献数
19

二次イオン質量分析法(Secondary ion mass spectrometry : SIMS)は,広い範囲のエネルギーのイオンビーム(一次イオン)を固体試料に照射することで引き起こされるスパッタリング現象により,二次的に放出される試料の構成原子によるイオン(二次イオン)を信号として検出することで,試料に含まれている元素および化合物の情報を得る分析法である.これまでは主に半導体などの材料科学や,鉱物の年代分析などに用いられてきた.SIMSの技術を発展させた同位体顕微鏡,NanoSIMS,TOF-SIMSなどの顕微鏡技術の登場によりSIMS装置での生物試料の分析が検討されるようになり,植物試料においても元素および分子を直接観ることが可能になってきた.現在では植物の組織・細胞レベルでの微量元素の検出ができるようになりつつある.これまでの植物科学における元素分析は,根や葉などの器官レベルでのバルク分析によって,定量的に知見を得てきた.植物における元素の重要性は組織・細胞レベルで考えられているにもかかわらず,実際の分布を直接観察することは難しかった.本稿では,植物科学におけるこれまでの元素分析手法を紹介するとともに,SIMS装置を用いた植物組織・細胞レベルでの元素のダイレクトイメージングの進歩について説明したい.
著者
鈴木 孝仁
出版者
The Japanese Society of Plant Morphology
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.29-38, 1995 (Released:2010-06-28)
参考文献数
28

真菌の二形性とは、一つの菌株が環境条件によって二つの異なる栄養増殖形態を示すことである。そのうち、単細胞性の酵母と、細胞の連なった菌糸との間で可逆的におこる二形性についての研究では、パン酵母やカンジダ酵母での分子遺伝学的諸法を適用した報告がなされるようになり、遺伝的制御を受けていることが分かってきた。形態形成や分化のモデルとして、最近の知見について総説する。
著者
豊岡 公徳
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.15-21, 2016 (Released:2017-04-14)
参考文献数
20
被引用文献数
1

光−電子相関顕微鏡法(Correlative light and electron microscopy: CLEM法)とは,同一試料を光学顕微鏡と電子顕微鏡を用いて観察し,両顕微鏡により得られた像の相関を得る解析法である.これまでに様々なCLEM法が開発され報告されているが,主に動物の培養細胞等が用いられており,植物の組織や細胞に適した方法は報告例は乏しい.植物組織・細胞においても,GFP等の蛍光で標識した生体分子の局在を高分解能で正確に捉えるためにはCLEM法の開発が重要である.我々は植物材料において,GFP蛍光を放つ細胞小器官の超微形態を高分解能走査電子顕微鏡で可視化する「GFP-走査電子相関顕微鏡法」の開発を進めている.細胞小器官をGFPで標識したシロイヌナズナ形質転換体の根端や子葉などの組織・器官を固定・脱水後,樹脂包埋する.そして,ミクロトームにより準超薄切し,導電性スライドガラスに載せ,そのGFP蛍光を共焦点レーザー顕微鏡により検出する.その後,その切片を電子染色し,高感度な反射電子検出器をもつ電界放出形走査電子顕微鏡により,蛍光を撮影した同一箇所の微細構造を撮影する.最後に,蛍光像と電顕像を重ね合わせることで,蛍光を放つオルガネラを特定し,その超微細構造を明らかにする.本技術は,蛍光タンパク質が普及した植物科学分野の超微細構造解析研究に大きく貢献できると期待される.
著者
山田 敏弘
出版者
The Japanese Society of Plant Morphology
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.103-112, 2004

要旨:被子植物がどのような祖先裸子植物に由来したのかを明らかにするために, 被子植物の共有派生形質の1つである外珠皮の進化過程に関しての考察を行なった. 現生被子植物の中で初期に分岐したことが知られているANITA植物を用いた研究によって, 放射相称なコップ型の外珠皮を持つ胚珠よりも, 左右対称な幌型の外珠皮を持つ胚珠が原始的であることが示唆された. さらにこの結果を化石記録から効率良く検証するために, 化石として残りやすい種子と外珠皮の形態を結びつける形態マーカーを探索した. その結果, 珠孔とへそが外種皮によって隔てられるか否かにより幌型外珠皮由来かコップ型外珠皮由来かを推定できることが明らかとなり, 最古の被子植物種子化石が幌型外珠皮を持つ胚珠に由来することが明らかとなった. 幌型外珠皮は葉などに特徴的な左右対称な性質を持つことから, 著者らは「外珠皮は葉的器官に由来する」との仮説に至った. この仮説の検証のため, 分子マーカーとしてINO相同遺伝子の発現を用いて, ANITA植物のスイレンの外珠皮に葉に特徴的な背腹性が見られるのかを観察した. その結果, 外珠皮ではIN0相同遺伝子が最外層のみで発現することから, 外珠皮は背腹性を持つと考えられた. 以上の結果は外珠皮が葉的器官に由来する可能性を示唆し, 心皮が胞子葉由来とされることを加味すると, 被子植物の雌性生殖器官は一部のシダ種子植物に見られるような「1珠皮性直生胚珠を2枚の葉的器官が包み込んだ構造」に対比されると推定された.
著者
山内 大輔 福田 安希 唐原 一郎 峰雪 芳宣
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.3-7, 2016 (Released:2017-04-14)
参考文献数
15

種子は一般的に乾燥状態で,その中に休眠している幼植物(胚)が含まれており,適当な条件が揃うと発芽する.発芽過程における種子中の形態的変化の観察では,その周りを覆う種皮が支障となり,光学顕微鏡観察のための切片作製では固定・樹脂包埋等による試料の変形も問題となる.そこで著者らは,種子を非侵襲で観察するために放射光施設SPring-8においてX線マイクロコンピュータートモグラフィー(CT)を利用している.マメ科ミヤコグサの種子をBL20B2で撮影した結果,胚の輪郭や将来維管束になる前形成層等を捉えることができた.この前形成層周辺にはX線の透過しにくい構造が散在していたが,それはシュウ酸カルシウム結晶であり,種子形成過程中期に現れ,吸水後10日目の子葉中でも消失しないで残ることがわかった.発芽種子の子葉には乾燥種子で見られないX線の透過し易い部分が散在していた.これは細胞間隙であり,吸水後60分になると出現することが分かった.一方,より高分解能での観察が可能なBL20XUを使ってシロイヌナズナ種子を撮影した.その結果,幼根から胚軸にかけての領域を構成する細胞の形が把握でき,胚の表皮,皮層,内皮を構成する大部分の細胞輪郭が抽出できるようになった.これら著者らの結果をふまえ,本総説ではX線マイクロCTの有効利用法や問題点についても言及したい.
著者
武田 征士
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.95-99, 2013 (Released:2014-09-26)
参考文献数
44

植物にとって,花は次世代へ遺伝情報を伝える重要な生殖器官である.雄しべと雌しべは生殖そのものに関わる一方,萼(がく)は花器官を外環境から守り,花びらは虫や鳥などの花粉の運び屋を惹き付ける.花びらはこの役割を果たすため,最も多様性に富む植物器官に進化してきている.モデル植物のシロイヌナズナの研究を中心に,花器官作りのメカニズムが遺伝子レベルで明らかにされてきた.最近の報告を含め,植物にとって重要な「花びら作り」に関わる遺伝子とメカニズムについて述べる.
著者
今市 涼子
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.41-50, 2001 (Released:2010-06-28)
参考文献数
28
被引用文献数
1

要旨:一葉性はイワタバコ科のモノフィレア属とストレプトカルプス属にみられる。これら一葉植物では大きく成長した1枚の子葉だけで体が構成され、一生を通じて茎も普通葉も作られず、花序は子葉の葉身基部から生じる。一葉植物は、その形態の特異さから、これまで様々な分野、特に進化形態学の研究者の注目を集めてきた。本稿では最近の比較形態形成研究ならびに分子系統解析の情報から、イワタバコ科における一葉性の進化について議論する。
著者
東山 哲也
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.57-64, 2010 (Released:2011-04-08)
参考文献数
25
被引用文献数
1

花粉管ガイダンス分子(誘引物質)の存在が19 世紀後半に提唱され始めて以来,多くの植物学者がその同定を目指してきた.今回我々のグループは,胚嚢が胚珠組織の外に裸出するユニークな植物トレニアを用いて,助細胞特異的に高発現するシステインに富むペプチド(ポリぺプチド)が花粉管誘引物質であることを発見した(Okuda et al. 2009 ).そのペプチドは,少なくとも2 つ存在し,LURE1 およびLURE2 と名付けた.LURE は,ディフェンシン類似のペプチドであり,助細胞の基部側(花粉管が進入する側)に分泌される.適切に折りたたまれた組換えタンパク質は強い花粉管誘引活性をもつ.その誘引活性の特徴は,花柱を通過していない花粉管は誘引しない,異種の花粉管は誘引しないなど,助細胞で見られる誘引活性の特徴と一致した.また,独自に開発したレーザーインジェクター装置により,遺伝子発現を抑えるモルフォリノアンチセンスを胚嚢に導入すると,花粉管の誘引が阻害された.これらの結果は,LURE が花粉管誘引物質であることを示している.本総説では,LURE の発見の経緯と,その発見がもたらすインパクトについて概説する.
著者
豊岡 公徳 佐藤 繭子 朽名 夏麿 永田 典子
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.3-8, 2014 (Released:2015-04-21)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

近年,蛍光イメージングの発展に伴い,組織・細胞・細胞小器官・分子の動態や局在を容易に推定できるようになった.しかし,各組織・細胞にどのような形態のオルガネラが存在し,どのような状態で分布しているか超微形態レベルでの実体を把握するには,未だに透過電子顕微鏡(TEM)による観察が必須である.我々は,組織や細胞などのTEM像を広域に渡って自動撮影するシステムと,撮影したTEM像をつなぎ合わせ1枚の高解像度TEM写真を取得するプログラムを組み合わせた「広域TEM像自動取得システム」を開発した.本システムを用いて,植物組織や培養細胞などの数万枚のTEM像を自動撮影し,結合させることで,ギガピクセルクラスの写真の取得に成功している.さらに,試料を瞬時に凍結する高圧凍結技法により,広域超薄切片の作製に取り組み,動的なオルガネラの分布を広域に渡り把握することに成功している.本稿では,広域TEM像自動取得システムの原理と,高圧凍結技法で作製した超薄切片から画像取得した結果を中心に紹介する.
著者
八木沢 芙美
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.105-109, 2012 (Released:2013-03-30)
参考文献数
27

液胞は,細胞内分解をはじめとする多様な機能を持つ.液胞は,小胞体やゴルジ体から新しく合成されうる(Hoh et al. 1995, Catlett and Weisman 2000).それにも関わらず,液胞は,細胞分裂時に母細胞から娘細胞へと分配される.液胞の分配は,細胞が分裂直後から正常に機能するために必要であると考えられる.これまでに知られている液胞の分配機構は,V型ミオシンとアクチンに依存するものであった.これに対し,アクトミオシン系を持たない原始紅藻Cyanidioschyzon merolaeでは,液胞がミトコンドリアに結合することで液胞の分配がおこる.本稿では,真核生物で知られる液胞の分配機構を紹介し,今後の展望について述べる.