著者
川手 進 六本木 隆 大和田 進
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.1999-2002, 1994-08-01
被引用文献数
7

偶然に発見された巨大な大網嚢腫性リンパ管腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.患者は16歳の男性で,感冒様症状のため来院した際に,腹部の膨隆と波動を指摘され,精査加療のため入院した.腹部超音波および腹部CT検査で多房性の腫瘤を認め,大網嚢腫の診断で嚢腫剔出術を施行した.嚢腫は多房性で,大きさ32×23×15cm,重さ7,100gで,その表面は大網組織で覆われていた.病理組織学的に腫瘍は嚢腫性リンパ管腫であった.本症例は大網嚢腫の本邦報告例のうち最大であった.