著者
兵頭 美和 赤松 公子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病教育・看護学会
雑誌
日本糖尿病教育・看護学会誌 (ISSN:13428497)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.108-114, 2019-03-31 (Released:2019-10-18)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究の目的は,糖尿病患者の歯周病に関する知識と口腔内衛生習慣,HbA1c,歯周病の評価得点,歯科受診との関係を明らかにすることであった.歯周病の評価には,歯周病が疑われる症状3項目,歯肉からの出血,歯肉の腫れなどの症状3項目,歯周病を起こすリスク因子6項目で構成されたチェックリストを用いた.同意の得られた100名に対してアンケート調査を行い,歯周病に関する知識との関係を対応のないt検定,またはχ2検定を用いて分析した.その結果,歯周病に関する知識と口腔内観察,歯みがき時間との間に有意差は認められたが,HbA1c,歯周病評価得点,歯科受診との間には認められなかった.歯周病に関する知識があるものは,ないものと比較して,口腔内観察を行い歯みがき時間が長いなどの口腔内衛生習慣は優良だったが,歯周病の程度や歯科受診に関連は認められず,糖尿病と歯周病に関する認知度は,さほど高いとはいえなかった.糖尿病と歯周病との関係を浸透させていくためには,歯周病に携わる関係者が連携し,継続した教育支援体制を整える必要がある.