著者
稲岡 潔 其浦 正幸
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.99-122, 1999-07

ポランニーの「暗黙知」の概念は、バーナードの知識観に通じるものであり、これらを結合する事によって、組織の活動を従来とは別の角度から分析することができる。組織構成員の活動を、暗黙知の側面と形大知の側面から分析することによって、目に見える公的な領域の活動と、目に見えない個人的な領域の活動とに分割する。そしてこの活動の2元性から、組織構成員が提供し、組織において共有する活動は、組織によってその方向が強制されるという、共有と強制の関係を考察する。その結果、1人の人間が複数の組織に所属する場合、共有と強制とが矛盾することがあるが、これは個人の中にある組織と、実際の組織との間にずれが生じるためであることが明らかにされた。