- 著者
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伊藤 伝
兼松 誠司
小金沢 碩城
土崎 常男
吉田 幸二
- 出版者
- 日本植物病理学会
- 雑誌
- 日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.5, pp.520-527, 1993-10-25
- 被引用文献数
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3
リンゴゆず果病罹病樹(品種:紅玉)の樹皮より核酸をフェノール抽出し, 2-メトキシエタノール及び臭化セチルトリメチルアンモニウム処理後, CF-11セルロースカラムにかけ, 5%ポリアクリルアミドゲルによる二次元電気泳動(一次元目 : 未変性条件, ニ次元目 : 8M尿素による変性条件)を行ったところ, 罹病樹からは健全樹には認められないウイロイド様RNAが検出された。同様なウイロイド様RNAはゆず果病罹病と考えられたその他のリンゴ14樹中12樹からも検出され, 本ウイロイド様RNAとゆず果病との関連性が示唆された。本ウイロイド様RNAは8M尿素による変性条件下で, リンゴ樹で既報のリンゴさび果ウイロイド(ASSVd)より遅く泳動され, ノーザンブロット法によリASSVd-cDNAと反応しなかった。また本ウイロイド様RNAを電気泳動により純化し, リンゴ実生21樹に切りつけ接種したところ, 5樹から同様のウイロイド様RNAが検出され, 本ウイロイド様RNAが実生に感染し増殖したと推察された。以上の結果より, 本ウイロイド様RNAはASSVdと分子種が全く異なる, より分子量の大きなウイロイドと考えられた。本ウイロイドをapple fruit crinkle associated viroidと仮称した。