- 著者
 
          - 
             
             小野 文徳
             
             小野地 章一
             
             吉田 節朗
             
             内山 哲之
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.37, no.1, pp.63-67, 2004 
 
          
          
          
          - 被引用文献数
 
          - 
             
             
             1
             
             
          
        
 
        
        
        症例は71歳の男性. 約20年前に背部打撲により脾損傷と診断され, 保存的に加療されたことがある. その後は特に外傷の既往はない. また, 3年前頃から心房細動のためアスピリンを服用しており, 半年前に脳梗塞を発症している. 脳梗塞後のリハビリにて近医入院中, 腹部CT検査にて脾 胞を指摘された. その1週間後, 突然の左側腹部痛とショック症状を呈したため当院に搬送された. 腹部CT検査および腹腔穿刺にて脾破裂による腹腔内出血と診断し, 緊急手術を施行した. 腹腔内に多量の凝血塊と血性腹水を認めるとともに, 脾には仮性襄胞とその破裂が認められ,外側は横隔膜,大網と強固に癒着していた. 病理組織検査では, 外傷性変化とともに, 新旧の壊死巣・出血巣が混在した脾梗塞の所見を認めた. 本症例の脾破裂の直接原因は脾梗塞と考えられたが, 外傷性変化, 抗凝固薬の服用も影響したものと考えられた.