著者
内山 正一 小熊 将之 山本 英希 重光 剛志
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.383-387, 2005 (Released:2009-06-05)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

軟膏の長期使用が原因と考えられる直腸Oleogranuloma(OG)を経験したので報告する.症例は64歳男性,排便困難を主訴に初診.15年前にWhitehead手術の既往があるが痔の注射療法の既往はない.1年9カ月間,痔核の脱出と排便時出血に対し,強力ポステリザン軟膏を使用.2001年9月頃より,排便困難と軟膏挿入時痛出現.肛門指診で,粘膜の脱出と,下部直腸左前壁に弾性硬の3cm大の粘膜下腫瘍を触知した.痔核切除および腫瘍の組織診施行しOGの診断で経過観察.軟膏中止後2カ月後のCT検査では腫瘍は縮小し,排便困難も軽快していた.さらに術後3年を経過し排便困難は無くなり,腫瘍は1cm以下に縮小していた.坐薬または軟膏が発症原因と考えられるOGの報告は現在までに8例でこれを含め直腸OG25例の発生部位,腫瘍径,自然経過を検討した.