著者
内海 紀子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.54-65, 2004

「私の象徴詩論」は、大手祐次の詩法を解き明かす重要なテクストである。祐次はAdolphe van Bever et Paul Leautaud; Poetes d'Aujourd'huiからマラルメやメーテルリンクの詩論を引用し、言葉を意味作用から解放する独自の詩法をつくりあげた。<象徴とは何か>という問題を言語の機能において捉えた祐次は、象徴主義からヴァレリーの純粋詩へ継承された<言語の音楽化>にも通底する、先駆的で卓越したレベルの象徴詩観を持っていた。