著者
村上 雄一 服部 達彦 内田 〓
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.1945-1948, 1969-09-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8
被引用文献数
5

エチレンと酢酸から酢酸エチルを常圧気相流通法で直接合成する反応において数種の触媒を検討した。活性の順序は多孔性イオン交換樹脂(Amberlyst15)>ケイタングステン酸-シリカゲル>リン酸-ケイソウ土>ゲル型イオン交換樹脂(AmberliteIR-120)であった。ケイタングステン酸触媒は200℃ではかなりの活性をもつが,活性の経時低下が著しかった。200℃以上ではかえって酢酸エチル収率は低下し,代ってアセトンの生成が急激に増加した。多孔性イオン交換樹脂触媒ではほとんど副反応なしに,140℃,SV175hr-1,エチレン対酢酸モル比5以上でほぼ平衡収率(59%)で酢酸エチルを生成した。エチレン対酢酸モル比の影響が大で,この比が大きいほど酢酸エチル収率が大きく,酢酸の反応抑制作用が見られた。原料中の水の抑制作用はさらに強く,エステル収率を低下させた。140℃では10時間までこの触媒の劣化はほとんどないが,150℃ではかなりの劣化が観測された。通常のゲル型樹脂は活性を示さず,使用後は完全に崩壊していた。