著者
内田 憲二 宮本 武典 佐藤 俊英
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.56-66, 2000-02-20 (Released:2010-06-11)
参考文献数
21

無麻酔・無拘束下のウサギのリズミカルな咀嚼運動に対する嚥下の影響を調べた。咀嚼時と嚥下時に下顎運動軌跡と咬筋, 顎二腹筋, 甲状舌骨筋の筋電図を記録した。固形飼料の咀嚼運動中の嚥下の影響は5つのタイプに分類される。 (1) 嚥下が下顎運動の開口相に影響し休止期を示すもの (OPタイプ), (2) 閉口相に影響し休止期を示すもの (CLタイプ), (3) 閉口相と開口相の両方に影響し休止期を示すもの (CL/OPタイプ), (4) 閉口と開口の両相に対して影響しないもの (Non-influタイプ), (5) 不十分な閉口相を引き起こし, 長い休止期の後に開口相に移行させるもの (Pタイプ)。観察された嚥下の52%がOPタイプ, 26%がCLタイプ, 12%がCL/OPタイプで10%が他のタイプであった。CLタイプとCL/OPタイプでの閉口相の変調は, 固形飼料の咀嚼中歯根膜からの入力による咬筋活動の抑制に関与し, OPタイプとCL/OPタイプでの開口相の変調は, 咽頭性入力による顎二腹筋活動の抑制に関与すると結論できる。