著者
内田 梨沙
出版者
公立大学法人 国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域
雑誌
国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域実習報告論文集 (ISSN:21853983)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.172-199, 2015

本稿では,大学院での3期にわたる日本語教育実習を振り返り,クラス内での学習者の発話量を増やすために筆者が取り組んだアクション・リサーチについて報告する。秋実習および冬実習を振り返り,筆者の問題点が学習者とのインターアクションおよび訂正フィードバックの方法にあり,それにより学習者の発話の機会を奪ってしまっていたことがわかった。また,冬実習では学習者間の発話量の偏りも生じてしまっていた。その反省から春実習の課題として,学習者の発話機会を増やすために筆者のインターアクションおよび訂正フィードバックの改善を試みた。分析の結果,インターアクション,訂正フィードバックに関して一定の改善は見られたものの,学習者間の発話量の偏りをなくすことはできなかった。また新たに,レベル差のあるクラスで,レベルの低い学習者や消極的な学習者にどのように発話の機会を与えるかという課題も見つかった。今後は各学習者の能力、性格などにも配慮して指名するなどの改善が必要であるとわかった。