著者
内野 昌恵
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・生活造形学研究
巻号頁・発行日
no.31, pp.167-174, 2000-01

今日、パンツは若い女性に定着し、完全に日常のワードローブの一つとなっている。それに伴い、学生のパンツに対する美しいシルエットと着心地への欲求は強く、指導するうえでパンツパターンを理解する重要性を感じた。そこで、本研究では、パンツ購入時の決定基準や試着の有無などを調査した結果、試着を約90%が行っているものの、購入する際に静立時の美的要素やシルエットなどのデザイン的要素を重視する傾向にあり、動作時の運動機能性まで考慮しているか疑問が残る結果となった。この調査結果より、本研究ではHLのゆとりなどの全体のシルエットに影響する構成要素は変化させず、前後股ぐりのカーブのみを変化させた実験服を設定し、どの程度、運動機能性の確保が可能かを日常生活で最も一般的動作と思われる椅座時において着くずれ実験を行い、相関分析した。結果としては、着くずれ量は微量であるが、各被験者とも、前股ぐりカーブが深く、後ろ股ぐりカーブが浅いパターンほど、後ろ股ぐり周辺のパターン面積が増加し、運動機能性が確保され、着くずれ量が少ない結果となった。