- 著者
-
熊谷 賢太
杉 薫
円城寺 由久
坂田 隆夫
川瀬 綾香
酒井 毅
手塚 尚紀
中江 武志
高見 光央
野呂 眞人
池田 隆徳
平井 寛則
- 出版者
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 雑誌
- 心臓 (ISSN:05864488)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.3, pp.114-119, 2002
症例は25歳男性.突然死の家族歴あり.繰り返す失神の精査目的に入院.標準12誘導心電図では下壁誘導と側胸部誘導に0.2mVのST上昇と下壁誘導でQRS終末にnotchを認めた.Holter心電図で最短R-R間隔が200msで最大15連発の非持続性心室頻拍が認められた.エドロフォニウム投与下の右室流出路からの2連早期刺激で血行動態破綻を来す多形性心室頻拍が誘発された.各種検査で器質的心疾患を認めなかったが,失神の既往がありICD植込みを行った.ICD植込み後の失神時心内心電図記録で心室細動が確認された,植込み後約2年の観察期間中Brugada様の心電図特徴(右胸部誘導のST上昇,不完全右脚ブロック)は認められなかったが,pilsicainide負荷によりV2誘導でcoved typeのST上昇が生じNa channelの障害が示唆された.典型的心電図特微を示さず注意すべきBrugada症候群の一亜型と考えられたので報告する.