- 著者
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冨岡 美栄子
- 雑誌
- 崇城大学芸術学部研究紀要
- 巻号頁・発行日
- no.7, pp.159-165, 2014
言葉を視覚的に捉えさせる文字は、生活と文化の中で重要な部分であり、時代ごとに一つ一つの進展と様々な需要があって現代に成り立っている。時代ごとに変化が見られていく文字は、その時代の象徴ともいえる。雑誌もまた、人々の需要から生まれ文化発展を助長してきた。政論から児童向け、文学、娯楽と多岐にわたり時代の“今”を映して積極的に表現し発信してきたメディアの一つである。雑誌に見られる文字が時代とともにどう変化してきたか、いかに時代の声に応えてきたのか。これまでに発進されてきたものを文化的・社会的背景と照らし合わせることで、文字のデザインの変遷や当時における役割、時代を反映する力について明らかにできると考える。文字の変遷や時代ごとの役割・反映力を明らかにするためにはある一定期間における雑誌と文字についての調査・分析による検証が必要となる。本研究では、現在でも発行が続いている雑誌『キネマ旬報』の大正期に焦点をおき、『キネマ旬報』にみられる特徴的な文字である図案文字の形の変遷と時代性との関連性を見出すことを目的とした。