著者
冨樫 仁美
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.70-73, 2021-04-15 (Released:2021-05-15)
参考文献数
4

外科治療の進歩とともに栄養療法も進歩し, 手術の成功率の向上や術後合併症の減少を可能にしてきた. 栄養療法の基本は腸を使うことであり, 栄養補給法の第一選択は経口栄養法となる. しかし, 経口栄養法である患者給食を提供するにあたっては食材費, 目標栄養量, 衛生管理などの観点から規制があり, 患者のニーズに合わせた食事提供には限界を感じることもある. 入院患者にとって, 食事は唯一の楽しみであり, ‘食べる’という当たり前だと思っていた行為ができないときに,楽しみは苦痛になりかねない. さまざまな規制はあるものの経口栄養の基本である患者給食は, 患者が食べる喜びを得られる形で提供されるべきである. われわれ管理栄養士がなお一層の努力をするとともに, この現状を他職種の医療関係者にもご理解いただくことが, より良い患者給食の提供につながると信じている.