著者
冨田 幸子 真田 穣人
出版者
日本特別活動学会
雑誌
日本特別活動学会紀要 (ISSN:13437151)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.63-72, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
21

学校現場でのいじめ問題への取組として演劇的手法がある。本研究では、生徒会活動の交流の場で行われたいじめ撲滅劇に着目し、いじめをテーマとする演劇が中学生の傍観者意識に及ぼす効果について検討を行った。その結果、劇上演後には、劇参加群のいじめに対する無関心、自己防衛の意識に有意な減少がみられた。一方、いじめ撲滅劇を鑑賞するだけであった劇鑑賞群には有意な変化はみられなかった。また、加害者支持の意識においても群間に有意な差がみられ、劇参加群のみ得点が減少していた。これらのことから、いじめをテーマとした演劇の取組が、劇参加の生徒会役員の傍観者意識に影響を与えていることが示唆された。