著者
冷 傳慧 佐久間 美明
出版者
地域漁業学会
雑誌
地域漁業研究 (ISSN:13427857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.21-37, 2009-02-01 (Released:2020-12-04)
参考文献数
6
被引用文献数
3

中国において,アサリ産業は1980年代の中ごろから現在まで続いている。この間,主産地である黄海と渤海湾周辺におけるアサリ産業は大きな変化があった。アサリ漁業は広い漁場で多数の業者が参入し,それに関わる産業も複数ある。また資金調達や産地競争など市場活動によるリスクのほか,自然災害によるリスクも大きい。それに,稚貝欠如や漁場管理など養殖技術上の問題も存在するし,水産制度金融や漁業災害補償など制度的不備もある。現在,頻発する斃死や日本市場の消費低迷という厳しい状況に置かれて,各業者は加工品市場や中国国内市場の開拓に力を入れているが,アサリ産業は産業構造の再編成を余儀なくされている。