著者
吉野 利夫 藤川 晃三 上瀬 千春 出来 裕三 大森 静雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.25-44, 1987-01-20

今日のテレビ報道情報番組の拡充は目覚ましいものがある.大型ネットワークニュース, ローカルニュース等の充実, そして生活情報のワイドショー化等と, 報道取材合戦は熾烈を極め, 活況を呈している, 朝から夜に至るまで多彩な情報と, 視聴者の関心領域の拡がりに対応して, 放送されている.ニュースの形成もキャスターニュースから記者が現場から伝える「記者レポート」形式となり, テレビ報道は, 新聞から自立して独自のテレビジャーナリズムを追究している.「百聞は一見に如かず」という諺があるが, テレビ映像による情報の伝達は, わかり易さの点で新聞報道をはるかに凌ぐ部分がある.しかしその半面, 絵になりにくい政治・経済の仕組みや話題を, どうわかり易く, 速く, 伝えていくか, 今後の大きな課題である.このような背景のもとに, 報道, 中継技術は生放送をより志向し, 報道速報から大型イベント中継まで, 技術革新とあいまって多様な制作技術をこなすようになった.