著者
鈴木 盛久 刑部 哲也
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.21, pp.37-49, 1982-04

飛騨変成帯西部地域の岐阜県吉城郡月ケ瀬地域から含亜鉛スピネルを産する変成岩を見出し,それを記載した。本岩は,カリ長石+珪線石の組合わせで特徴づけられる泥質片麻岩中に10×15m程度のレンズ状岩体として出現する。本岩の鉱物組合わせは,ざくろ石・黒雲母・珪線石・カリ長石・石英・スピネル・石墨・チタン鉄鉱であり(タイプA),それらに斜長石が加わることもある(タイプB)。スピネルは,タイプAの岩石中のものではHe_<39.7-41.O> Ga_<52.3-540> Sp_<6.3-6.7>,タイプB中のものではHe_<60.0-61.7> Ga_<26.6-28.9> Sp_<10.8-11.7>の組成範囲を示す。全岩化学組成,鉱物組合わせ,構成鉱物の化学組成等の検討から,含亜鉛スピネルを産する岩石は,泥質岩或いはそれに関連した原岩から角閃岩相以上の変成条件下で生成されたものと結論づけられた。