著者
林 康史 刘 振楠
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.139-164, 2015-03

マイクロファイナンスは,ムハマド・ユヌスがグラミン銀行で始めたマイクロクレジットが発展したものである.普通銀行とは,特に審査や担保についての考え方・運用が大きく異なっている.現在の返済能力を審査せず,担保をとらずに融資を行う.これらの仕組みは,わが国の奨学金制度と似たものである.奨学金制度のビジョン再検討のために,グラミン銀行が採用して成功したと考えられる,いわゆるグループローンや連帯責任制等を,また,それらの仕組みの背景にある,コミットメントの効果や心理学の活用,金融教育の意義を考察する.