- 著者
-
前川 聡子
- 出版者
- 日本財政学会
- 雑誌
- 財政研究 (ISSN:24363421)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, pp.267-282, 2013 (Released:2021-10-26)
- 参考文献数
- 32
本稿では,研究開発支援政策として,試験研究費に係る税額控除拡大と法人税率引き下げのどちらの方が効果的なのかについて,1980~2009年の資本金階級別のデータを用いて実証分析を行った。その結果,税額控除は期待されるような効果を持たず,税率引き下げの方が研究開発増加に対して有意に影響を及ぼすことが明らかとなった。ただし,資本金100億円以上の巨大企業については,税率も税額控除も研究開発費に対して有意な影響を与えず,むしろ負債比率が研究開発に有意な影響を持っていることが示唆された。