- 著者
-
並木 正義
栗原 春仁
藤田 浩也
中西 孝美
新崎 隆一
前沢 貢
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.10, pp.1206-1212, 1964-01-10 (Released:2008-06-12)
- 参考文献数
- 8
北海道日高アイヌにつき胃集団検診を行なうかたわら,血液などにかんしても種々の臨床的検査を行ない,和人との比較において検討してみた.その結果,智については,アイヌにおいて牛角胃,瀑状胃を呈するものの割合が和人にくらべてはるかに多く,胃カメラ所見で変化を有するものは和人に比して著明に少なく,また無酸がほとんどみいだされなかつた.一方,自覚的に胃症状を訴えるものもあまりなく,ともかくアイヌに胃疾患の少ないことをたしかめることが出来た.血液にかんしては,血球数,血色素,ヘマトクリット値,血液像については,和人との間に有意の差なく,血清の鉄,銅の値もまた有意差がなかつたが,血清総コレステロール値の低い傾向,および血清蛋白分画値におげるアルブミンの減少,グロブリンの増加傾向は,和人に比し有意の差がみとめられた.