著者
佐藤 洋志 角 浩史 佐藤 ルブナ 田中 めぐみ 西脇 農真 鶴田 信慈 原岡 ひとみ
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.149-151, 2014-01-10 (Released:2015-01-10)
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は56歳,女性.20歳頃月経時に発熱と腹痛が生じ,その後月経周期に一致して症状を繰り返すため近医で精査するも異常所見を認めなかった.症状は月経終了後無治療で自然軽快していた.父親にも同様の症状が出現していたことから,遺伝性自己炎症性疾患を疑い遺伝子検査を施行したところ,MEFV遺伝子変異を認めたため家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever:FMF)と診断した.コルヒチン投与後症状は消失し,現在までアミロイドーシスの発症も認めていない.
著者
渡邊 浩
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.962-963, 2019-05-10 (Released:2020-05-10)
参考文献数
7
著者
大久保 憲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.1531-1537, 2001-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13

病院感染防止には消毒は不可欠であるが,不合理で過剩な消毒が行われている場合がある.消毒薬の使用では対象微生物に有効で,生体や器材を損傷しないような薬剤を選択しなくてはならない.手指消毒は感染防止の基本であるが,手荒れを起こすような方法では,皮膚常在菌,通過菌(一過性付着菌)を増加させてしまい,交差感染の危険性を高める結果となる1).また,病室などの環境に存在する微生物が感染源となることは稀であり,常に手が触れない床などは,消毒ではなく洗浄剤による丁寧な清掃が重要である.環境の無菌性を追求するような過剰な消毒をすべきではない.消毒薬の基本的な使用法は,浸漬法と清拭法であり,噴霧,散布,燻蒸などの方法は作業者に対する危険性から行ってはならない方法である.消毒の功罪を考慮した適正な消毒法が望まれる.
著者
大生 定義
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.1247-1248, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
7
著者
高橋 幸利 松平 敬史 笠井 良修
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.8, pp.1591-1597, 2017-08-10 (Released:2018-08-10)
参考文献数
10

ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)ワクチン(子宮頸がんワクチン)接種後に,日常生活が困難な状況に陥った症例が1万人あたり2名程度ある.そのような症例の中で中枢神経系関連症状を呈した32例の髄液を検討し,①Th2シフトを示唆するIL(interleukin)-4,IL-13,CD4+ T cells増加,②IL-17増加(発症後12~24カ月),③IL-8,MCP-1(monocyte chemoattractant protein-1)増加,④GluN2B,GluN1に対する自己抗体増加等が明らかとなった.

137 0 0 0 OA IV.真菌感染症

著者
泉川 公一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.2333-2340, 2017-11-10 (Released:2018-11-10)
参考文献数
7

近年の医療技術・治療の進歩により,深在性真菌症は増加の一途にある.一方で,専門医は少なく,一般的に発熱性疾患で本症の鑑別を行うことは難しいため,診断が遅れ,不幸な転帰を辿ることも予想される.基礎疾患を有しない場合でも発症するクリプトコックス症,輸入真菌症は不明熱の原因疾患として特に重要である.また,深在性真菌症の発症リスク因子についても改めて認識し,不明熱の鑑別疾患として認識しておく必要がある.
著者
徳永 勝人 石川 勝憲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1231-1235, 1995-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

視床下部は摂食行動の調節に重要な役割を果たしている.ヒトでは脳腫瘍, Fröhlich症候群, empty sella症候群など視床下部の器質的・機能的な障害があれば食欲の調節異常を招来し肥満をきたす.このような機作による肥満を視床下部性肥満と呼んでいる.ラットでは視床下部の破壊により肥満を生じ,ヒト肥満の成因および病態解明にVMH破壊肥満ラットやPVN破壊肥満ラットなど実験肥満動物モデルが用いられている.
著者
大津留 晶 緑川 早苗 坂井 晃 志村 浩己 鈴木 悟
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.593-599, 2015-03-10 (Released:2016-03-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

甲状腺は放射線に対して発がん感受性が高い臓器の1つと捉えられている.甲状腺がんの放射線発がんリスクは,被曝時年齢が若いほど高くなる.放射線は発がん因子の1つとしても,二次発がんという観点でも重要である.原爆被曝者の調査では,外部被曝による甲状腺がんリスク増加が示された.チェルノブイリ原発事故は,放射性ヨウ素の内部被曝が発がんの原因となった.いずれも100 mSv(ミリシーベルト)以上から徐々に有意となり,線量が高いほど罹患率が上昇する,線量依存性が見られている.東京電力福島第一原発事故後,小児甲状腺がんに対する不安が増大し,福島では大規模なスクリーニング調査が開始されている.本稿では,放射線と甲状腺がんについて,これまでの疫学調査と病理報告を概説し,放射線誘発甲状腺がんの分子機構の最前線に触れ,最後に小児甲状腺がんスクリーニングについての考え方についてまとめた.
著者
佐藤 徹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.2, pp.234-242, 2018-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
10

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は,血栓/塞栓が肺動脈の亜区域枝付近より中枢に形成され,器質化して狭窄,閉塞を起こし,肺高血圧を来たす疾患である.第4群の肺高血圧症に分類され,最も予後良好で症状等の著明な改善が得られる.急性肺塞栓症の既往があって本疾患へ発展する場合と,慢性のPHとして見つかり,鑑別診断でCTEPHと診断される症例がある.現在では,画像診断の進歩によって,ほとんどの症例が適切に確定診断される.治療法としては,1990年代後半から2010年頃までは手術療法が主体であった.2010年頃以降,バルーン肺動脈形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)が日本で発展し,ほぼ同様の効果が得られるようになった.数年前には内服薬のリオシグアトが開発され,前2者には劣るが一定の効果が得られるようになった.
著者
光武 範吏 山下 俊一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.8, pp.1999-2005, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

甲状腺癌の大半は予後良好な乳頭癌である.しかし,低分化,未分化タイプの予後不良な進行癌が存在し,新たな治療法が模索されている.最近の研究の進歩により,甲状腺癌の病因と考えられる遺伝子異常の種類とその頻度,そして各機能が明らかにされつつある.すなわち,病理組織学的分類による乳頭癌,濾胞癌,未分化癌そして髄様癌に特徴的な遺伝子異常の存在が明らかにされ,各遺伝子異常を標的とした分子標的治療の新知見が積み重ねられ,欧米では具体的な臨床応用が展開されている.また,甲状腺癌幹細胞様細胞の存在も治療戦略上重要な標的となりうる.しかし,本邦では甲状腺癌治療に関する多施設共同調査研究ネットワークの構築が遅れ,分子標的治療の臨床治験やその統計疫学的な有効性の評価体制も未整備である.本稿は,甲状腺癌に代表的な遺伝子異常とその役割を概説し,第三の内科的治療としての分子標的治療の展望とその有効性について紹介する.

90 0 0 0 OA 3.鉄と炎症

著者
張替 秀郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.6, pp.1282-1286, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

感染症などの炎症においては,ペプチドホルモンであるヘプシジンが分泌され,鉄の吸収・再利用が抑制される.また,細菌の鉄獲得を阻止するために様々な競合分子の発現が誘導される.この鉄動態の変化は,感染に対する防御機構として,また鉄の組織障害を回避する手段として有効であるが,長期間にわたる鉄利用サイクルの抑制は,慢性貧血の原因となる.
著者
鈴木(堀田) 眞理
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.676-682, 2016-04-10 (Released:2017-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
5

神経性やせ症や過食症などの摂食障害は,低栄養や自己誘発性嘔吐や下剤・利尿薬乱用に伴う合併症で救急診療を必要とする場合がある.「摂食障害救急患者治療マニュアル」「神経性食欲不振症プライマリケアのためのガイドライン」について概説し,救急でみられる症状と疾患,栄養アセスメント,内科的緊急入院の適応,重篤な合併症と治療,栄養療法,再栄養に伴う重篤な合併症であるrefeeding症候群の予防について述べる.
著者
川野 充弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.7, pp.1494-1501, 2021-07-10 (Released:2022-07-10)
参考文献数
15

IgG4(immunoglobulin G4)関連疾患は,高齢男性に好発し,さまざまな臓器に多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化を共通の病理所見とする病変を起こす原因不明の慢性炎症性疾患である.涙腺,唾液腺,膵臓,腎臓,後腹膜に好発し,糖質コルチコイドが著効するが,高頻度で再燃を認める.発症には,IgG4へのクラススイッチに重要なサイトカインであるヘルパーT2もしくは濾胞性ヘルパーT2細胞由来のIL(interleukin)-4や制御性T細胞由来のIL-10の関与が示唆され,線維化に関しては,TGF(transforming growth factor)-βの関与が示唆されている.その他,自然免疫担当細胞であるM2マクロファージや肥満細胞,好塩基球等の関与も示されてきた.一方で,活動期の末梢血中にはオリゴクローナルな形質芽球が増加していること,海外ではリツキシマブ等のB細胞をターゲットとした治療の有効性も報告されていることから,今後,B細胞の意義や認識する自己抗原についても解明が進むものと期待される.
著者
下条 文武 成田 一衛
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.1310-1315, 2006-07-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
6
被引用文献数
1

平成16年9月中旬以後, 新潟県北部の血液透析患者に原因不明の急性脳症が多発し, 死亡例も発生した. 私どもは, 関連病院の透析担当主治医から, 発症者のなかにスギヒラタケ摂取後に発症した症例があるとの情報を得たので, この事実に注目し, スギヒラタケ摂取との関連性について全国の日本腎臓学会員に情報提供を呼びかけた. その結果, スギヒラタケ摂取と急性脳症の発症に強い関連がある32症例の情報を得, 致死率が約30%に及ぶ重篤な臨床経過をとる脳症であることがわかった.
著者
二宮 治彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.980-985, 1999-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

巨赤芽球はビタミンB12あるいは葉酸の欠乏により造血細胞のDNA合成が障害され発症する.ビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血には悪性貧血と胃切除(おもに全摘)後に発症するものが多い.診断にはビタミンB12や葉酸の欠乏を明らかにするとともに,欠乏の成因を明らかにすることが重要である.終生の維持療法が必要となることも多く,合併症に注意した臨床観察が求められる.
著者
田辺 正樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.2761-2769, 2014-11-10 (Released:2015-11-10)
参考文献数
20

世界的な大流行(パンデミック)を引き起こす可能性のある感染症(新型インフルエンザ・新感染症)が発生した場合の対応について定めた新しい法律「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が,2013年4月に施行された.同年6月,具体的な対策などを定めた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」が策定された.各医療機関においては,地域における役割に応じ,診療継続計画を策定し,対策を立案していく必要がある.
著者
石崎 武志 宮下 晃一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.1607-1612, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
17

ALI/ARDSの急性期救命率が改善されてきたことで,ALI/ARDS長期生存例が増えてきた.その結果生還者に様々な後遺症が見られ,QOL (quality of life) が著しく損なわれることが判明してきた.おもな後遺症としては,呼吸機能障害,神経筋障害(critical illness polyneuropathy),認知機能障害,精神障害(外傷後ストレス症候群)等が知られ,これらが総合して健康関連QOLの低下を招く.