著者
光武 範吏 山下 俊一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.8, pp.1999-2005, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1 or 0

甲状腺癌の大半は予後良好な乳頭癌である.しかし,低分化,未分化タイプの予後不良な進行癌が存在し,新たな治療法が模索されている.最近の研究の進歩により,甲状腺癌の病因と考えられる遺伝子異常の種類とその頻度,そして各機能が明らかにされつつある.すなわち,病理組織学的分類による乳頭癌,濾胞癌,未分化癌そして髄様癌に特徴的な遺伝子異常の存在が明らかにされ,各遺伝子異常を標的とした分子標的治療の新知見が積み重ねられ,欧米では具体的な臨床応用が展開されている.また,甲状腺癌幹細胞様細胞の存在も治療戦略上重要な標的となりうる.しかし,本邦では甲状腺癌治療に関する多施設共同調査研究ネットワークの構築が遅れ,分子標的治療の臨床治験やその統計疫学的な有効性の評価体制も未整備である.本稿は,甲状腺癌に代表的な遺伝子異常とその役割を概説し,第三の内科的治療としての分子標的治療の展望とその有効性について紹介する.
著者
鈴木(堀田) 眞理
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.676-682, 2016-04-10 (Released:2017-04-10)
参考文献数
10

神経性やせ症や過食症などの摂食障害は,低栄養や自己誘発性嘔吐や下剤・利尿薬乱用に伴う合併症で救急診療を必要とする場合がある.「摂食障害救急患者治療マニュアル」「神経性食欲不振症プライマリケアのためのガイドライン」について概説し,救急でみられる症状と疾患,栄養アセスメント,内科的緊急入院の適応,重篤な合併症と治療,栄養療法,再栄養に伴う重篤な合併症であるrefeeding症候群の予防について述べる.
著者
大津留 晶 緑川 早苗 坂井 晃 志村 浩己 鈴木 悟
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.593-599, 2015-03-10 (Released:2016-03-10)
参考文献数
13

甲状腺は放射線に対して発がん感受性が高い臓器の1つと捉えられている.甲状腺がんの放射線発がんリスクは,被曝時年齢が若いほど高くなる.放射線は発がん因子の1つとしても,二次発がんという観点でも重要である.原爆被曝者の調査では,外部被曝による甲状腺がんリスク増加が示された.チェルノブイリ原発事故は,放射性ヨウ素の内部被曝が発がんの原因となった.いずれも100 mSv(ミリシーベルト)以上から徐々に有意となり,線量が高いほど罹患率が上昇する,線量依存性が見られている.東京電力福島第一原発事故後,小児甲状腺がんに対する不安が増大し,福島では大規模なスクリーニング調査が開始されている.本稿では,放射線と甲状腺がんについて,これまでの疫学調査と病理報告を概説し,放射線誘発甲状腺がんの分子機構の最前線に触れ,最後に小児甲状腺がんスクリーニングについての考え方についてまとめた.
著者
河手 久弥 髙栁 涼一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.878-885, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
10

副腎皮質機能低下症(副腎不全)は,副腎から分泌されるコルチゾール,アルドステロン,副腎アンドロゲンが欠乏した状態で,副腎自体の病変による原発性と,視床下部-下垂体の病変による続発性に分けられる.副腎皮質機能低下症は,特徴的な症候を欠くため,しばしば診断・治療が遅れることがある.グルココルチコイドの適切な補充が行われない場合は致死的となることがあるため,的確な早期診断・治療が求められる.
著者
長瀧 重信 芦澤 潔人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.1215-1221, 1997-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

情報が錯綜しているチェルノブイリ原子力発電所事故の健康に対する影響について1990年から現地で医療調査に従事して来た経験をもとに紹介する. 10年目に明らかに臨床的に確認された健康傷害は134名の急性放射線症(28名が3カ月以内に死亡)と800名の小児甲状腺癌(3名が死亡)だけである.被曝線量に不確的要素が多いために放射線傷害の調査は続行中であるが, 4~5年で癌の発症が100倍以上になったことは前代未聞であり,現地の癌の発生を予防するためにも一般的な癌発生の機序の研究にも国際的な協力体制が望まれる.
著者
大林 正人 田中 誠一 小町 裕志
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.153-154, 2008-01-10
参考文献数
9

麻痺肢の擬人化とは,麻痺肢に対してあたかもそこに人格が宿ったかのようにふるまう症候である.今回68歳の右視床出血の女性患者において,入院数日後から麻痺を認めた左上肢に対して「てっちゃん」と名づけて話しかけるという特異な行動を認めた.意識障害や認知機能異常は認められず,身体失認が軽度認められる程度であった.擬人化は長期にわたり持続した.<br>

18 0 0 0 OA 1)肺と腎臓

著者
有村 義宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.2530-2536, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
著者
山口 昭三郎 金古 善明 山岸 高宏 大山 良雄 天野 晶夫 新井 昌史 中村 哲也 長谷川 昭 倉林 正彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.143-145, 2003-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 or 0

67歳,女性.クラリスロマイシンの投与を受けた後, torsades de pointesが頻発した.内服中止後に頻拍は消失し,本剤により惹起されたQT延長症候群と診断した.内服中止後も, QTc延長(0.51秒)とV2-6の二相性T波,イソプロテレノール,メキシレチン静注投与後のTU波の形態変化を認め,基礎に再分極異常の存在が示唆された.本剤は使用頻度の高い薬剤であり,投与後の経過に十分留意する必要がある.
著者
谷口 正実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1426-1432, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1 or 0

・アスピリンに対するアレルギーではなく,COX1阻害作用を持つNSAIDsにより,強い気道症状を呈する不耐症であるが,選択的COX2阻害薬は安全に使用できる.・成人喘息の約5~10%を占め,男女比は1:2で小児ではまれである.・ほとんどの症例で好酸球性鼻茸を合併し,近年では好酸球性中耳炎や胃腸症,異型狭心症の合併が増加している.・通常のアレルギー学的検査では診断不能で,問診(NSAIDs使用歴,嗅覚低下,鼻茸手術歴の確認)が重要であり,確定診断には内服試験が必要である.・静注用ステロイドの急速静注は禁忌であり,NSAIDs誘発時にはエピネフリンが奏効する.
著者
石川 勲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.1101-1107, 2014-05-10 (Released:2015-05-10)
参考文献数
11

運動後にみられる急性腎障害には,ミオグロビン尿性と非ミオグロビン尿性の2種類がある.ミオグロビン尿性はマラソンなど過度の運動により横紋筋が融解されて起こる急性腎障害で赤褐色尿(コーク色の尿)で発見される.血清CK値は基準値上限の20倍以上と著しく高い.一方,非ミオグロビン尿性は運動後急性腎障害(ALPE)で,典型例は運動会で200 mを全力疾走した後に,背腰痛で発見される.血清CK値は基準値内か軽度上昇で,腎性低尿酸血症患者に起こりやすい.
著者
亀崎 豊実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.1599-1608, 2014-07-10 (Released:2015-07-10)
参考文献数
10

自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断は,貧血と黄疸があり直接クームス試験が陽性であると比較的容易であり,ステロイド治療への反応性も良好である.クームス陰性AIHAや低力価寒冷凝集素症,発作性寒冷ヘモグロビン尿症などの非典型的な特殊な病型では診断に苦慮することが多いため,臨床病態やクームス試験結果の解釈に注意を要する.ステロイド不応性や不耐性の症例への対応では,近年,抗体療法が注目されている.
著者
西岡 紘治 田中 敏郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.2440-2448, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
13

リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)は原因不明の慢性炎症性疾患であり,50歳以上の中高年に発症する.肩や殿部に両側性の疼痛,朝のこわばりが出現し,赤沈,CRPなどの炎症マーカーが上昇するが,リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF),抗核抗体などは上昇しない.多くの場合,PMRは少量ステロイド薬で劇的に改善するが,約20%で巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)を合併する.また関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA),脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA),感染症,悪性腫瘍などの鑑別を要する.PMRは「疑わなければ診断できない」疾患であり,高齢社会において一般臨床医が知っておかなければならない疾患でもある.本項では,2012年に改定されたPMRの分類基準,鑑別疾患,合併症,治療法について概説する.
著者
坂本 信夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.1540-1543, 1989-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13
著者
岡田 千春 宗田 良
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.2153-2158, 2004-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

化学物質過敏症は微量な化学物質に反応して多彩な症状を呈する疾患群と考えられているが,病態も不明な部分が多く診断基準が確立されたとは言い難い.そこで,診断目的で環境クリーンルームにおいて微量の化学物質の負荷テストを行い61.1%の陽性症例を認めた.また,客観的指標として負荷テスト前後のSuperoxide desmutase (SOD)活性の変化や脳内酸素状態の変化が有用である可能性がある.
著者
舟橋 啓臣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.1047-1052, 1998-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

女性化乳房(gynecomastia)は外来診療において比較的よく遭遇する疾患である.生理的なものと病的なものがあり,病的女性化乳房には薬剤性・ホルモン異常性などがある.また,男性乳癌とは慎重な鑑別を要する.超音波検査,マンモグラフィー,穿刺吸引細胞診は乳癌との鑑別診断に非常に有用である.女性化乳房の多くが生理的なものと,薬剤性であるが,良性でも外科的治療の対象となる.