著者
佐藤 洋志 角 浩史 佐藤 ルブナ 田中 めぐみ 西脇 農真 鶴田 信慈 原岡 ひとみ
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.149-151, 2014-01-10 (Released:2015-01-10)
参考文献数
5

症例は56歳,女性.20歳頃月経時に発熱と腹痛が生じ,その後月経周期に一致して症状を繰り返すため近医で精査するも異常所見を認めなかった.症状は月経終了後無治療で自然軽快していた.父親にも同様の症状が出現していたことから,遺伝性自己炎症性疾患を疑い遺伝子検査を施行したところ,MEFV遺伝子変異を認めたため家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever:FMF)と診断した.コルヒチン投与後症状は消失し,現在までアミロイドーシスの発症も認めていない.
著者
光武 範吏 山下 俊一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.8, pp.1999-2005, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

甲状腺癌の大半は予後良好な乳頭癌である.しかし,低分化,未分化タイプの予後不良な進行癌が存在し,新たな治療法が模索されている.最近の研究の進歩により,甲状腺癌の病因と考えられる遺伝子異常の種類とその頻度,そして各機能が明らかにされつつある.すなわち,病理組織学的分類による乳頭癌,濾胞癌,未分化癌そして髄様癌に特徴的な遺伝子異常の存在が明らかにされ,各遺伝子異常を標的とした分子標的治療の新知見が積み重ねられ,欧米では具体的な臨床応用が展開されている.また,甲状腺癌幹細胞様細胞の存在も治療戦略上重要な標的となりうる.しかし,本邦では甲状腺癌治療に関する多施設共同調査研究ネットワークの構築が遅れ,分子標的治療の臨床治験やその統計疫学的な有効性の評価体制も未整備である.本稿は,甲状腺癌に代表的な遺伝子異常とその役割を概説し,第三の内科的治療としての分子標的治療の展望とその有効性について紹介する.
著者
二宮 治彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.980-985, 1999-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

巨赤芽球はビタミンB12あるいは葉酸の欠乏により造血細胞のDNA合成が障害され発症する.ビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血には悪性貧血と胃切除(おもに全摘)後に発症するものが多い.診断にはビタミンB12や葉酸の欠乏を明らかにするとともに,欠乏の成因を明らかにすることが重要である.終生の維持療法が必要となることも多く,合併症に注意した臨床観察が求められる.
著者
鈴木(堀田) 眞理
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.676-682, 2016-04-10 (Released:2017-04-10)
参考文献数
10

神経性やせ症や過食症などの摂食障害は,低栄養や自己誘発性嘔吐や下剤・利尿薬乱用に伴う合併症で救急診療を必要とする場合がある.「摂食障害救急患者治療マニュアル」「神経性食欲不振症プライマリケアのためのガイドライン」について概説し,救急でみられる症状と疾患,栄養アセスメント,内科的緊急入院の適応,重篤な合併症と治療,栄養療法,再栄養に伴う重篤な合併症であるrefeeding症候群の予防について述べる.
著者
大津留 晶 緑川 早苗 坂井 晃 志村 浩己 鈴木 悟
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.593-599, 2015-03-10 (Released:2016-03-10)
参考文献数
13

甲状腺は放射線に対して発がん感受性が高い臓器の1つと捉えられている.甲状腺がんの放射線発がんリスクは,被曝時年齢が若いほど高くなる.放射線は発がん因子の1つとしても,二次発がんという観点でも重要である.原爆被曝者の調査では,外部被曝による甲状腺がんリスク増加が示された.チェルノブイリ原発事故は,放射性ヨウ素の内部被曝が発がんの原因となった.いずれも100 mSv(ミリシーベルト)以上から徐々に有意となり,線量が高いほど罹患率が上昇する,線量依存性が見られている.東京電力福島第一原発事故後,小児甲状腺がんに対する不安が増大し,福島では大規模なスクリーニング調査が開始されている.本稿では,放射線と甲状腺がんについて,これまでの疫学調査と病理報告を概説し,放射線誘発甲状腺がんの分子機構の最前線に触れ,最後に小児甲状腺がんスクリーニングについての考え方についてまとめた.
著者
河手 久弥 髙栁 涼一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.878-885, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
10

副腎皮質機能低下症(副腎不全)は,副腎から分泌されるコルチゾール,アルドステロン,副腎アンドロゲンが欠乏した状態で,副腎自体の病変による原発性と,視床下部-下垂体の病変による続発性に分けられる.副腎皮質機能低下症は,特徴的な症候を欠くため,しばしば診断・治療が遅れることがある.グルココルチコイドの適切な補充が行われない場合は致死的となることがあるため,的確な早期診断・治療が求められる.
著者
高橋 幸利 松平 敬史 笠井 良修
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.8, pp.1591-1597, 2017-08-10 (Released:2018-08-10)
参考文献数
10

ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)ワクチン(子宮頸がんワクチン)接種後に,日常生活が困難な状況に陥った症例が1万人あたり2名程度ある.そのような症例の中で中枢神経系関連症状を呈した32例の髄液を検討し,①Th2シフトを示唆するIL(interleukin)-4,IL-13,CD4+ T cells増加,②IL-17増加(発症後12~24カ月),③IL-8,MCP-1(monocyte chemoattractant protein-1)増加,④GluN2B,GluN1に対する自己抗体増加等が明らかとなった.
著者
戸倉 新樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.1006-1012, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
14

光アレルギー機序で発症する疾患には,1)光接触皮膚炎,2)薬剤性光線過敏症,3)日光蕁麻疹,4)慢性光線性皮膚炎(CAD)がある.光接触皮膚炎,薬剤性光線過敏症は抗原となる光感受性物質が明らかであり,その他は明確でない疾患となる.光接触皮膚炎は,抗原が皮膚に塗られて,紫外線が当たって発症し,薬剤性光線過敏症は抗原が薬剤という形で経口投与されて,紫外線が当たって発症する.光接触皮膚炎の原因には,ケトプロフェン,スプロフェンやサンスクリーン薬がある.診断は光貼布試験が決め手となる.薬剤性光線過敏症の原因には,ニューキノロン,ピロキシカム,降圧利尿薬,チリソロール,メチクランをはじめとして多くの薬剤がある.日光蕁麻疹は日光照射により膨疹が生ずる疾患である.CADは,外因性光抗原を原因としない自己免疫性光線過敏症と呼ぶべき疾患で,時にHIV陽性者,ATL患者に発症する.
著者
加藤 将 渥美 達也 小池 隆夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.10, pp.2401-2406, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
9

全身性エリテマトーデスの治療は従来からステロイド薬による非特異的な治療が中心であったが,近年,免疫抑制薬や生物学的製剤を用い,効果的で副作用の少ない治療が試みられている.全身性エリテマトーデスの関節炎の特徴は「非破壊性関節炎」と表現され,関節リウマチの「破壊性関節炎」とは多くの点で対照的である.このような対照的な病態を理解することは関節炎全般の診療をより深いものにすると考えられる.
著者
長瀧 重信 芦澤 潔人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.1215-1221, 1997-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

情報が錯綜しているチェルノブイリ原子力発電所事故の健康に対する影響について1990年から現地で医療調査に従事して来た経験をもとに紹介する. 10年目に明らかに臨床的に確認された健康傷害は134名の急性放射線症(28名が3カ月以内に死亡)と800名の小児甲状腺癌(3名が死亡)だけである.被曝線量に不確的要素が多いために放射線傷害の調査は続行中であるが, 4~5年で癌の発症が100倍以上になったことは前代未聞であり,現地の癌の発生を予防するためにも一般的な癌発生の機序の研究にも国際的な協力体制が望まれる.
著者
大林 正人 田中 誠一 小町 裕志
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.153-154, 2008-01-10
参考文献数
9

麻痺肢の擬人化とは,麻痺肢に対してあたかもそこに人格が宿ったかのようにふるまう症候である.今回68歳の右視床出血の女性患者において,入院数日後から麻痺を認めた左上肢に対して「てっちゃん」と名づけて話しかけるという特異な行動を認めた.意識障害や認知機能異常は認められず,身体失認が軽度認められる程度であった.擬人化は長期にわたり持続した.<br>
著者
鹿児島 崇 山﨑 善隆 坂口 幸治 久保 惠嗣 杉山 広 齊藤 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.975-977, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
6

ウェステルマン肺吸虫はモクズガニやサワガニを生食することでヒトに感染する.今回,姉妹の感染例を経験した.両名ともプラジカンテルの投与で軽快した.国内で販売されている淡水産のカニの肺吸虫感染率は決して低くなく,加熱なしで淡水産カニを喫食する際には十分な注意が必要と考えられる.また本例はいずれも外国人であり外国人診療においては食習慣の違いによる感染症にも留意する必要があると考えられた.
著者
谷口 正実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1426-1432, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

・アスピリンに対するアレルギーではなく,COX1阻害作用を持つNSAIDsにより,強い気道症状を呈する不耐症であるが,選択的COX2阻害薬は安全に使用できる.・成人喘息の約5~10%を占め,男女比は1:2で小児ではまれである.・ほとんどの症例で好酸球性鼻茸を合併し,近年では好酸球性中耳炎や胃腸症,異型狭心症の合併が増加している.・通常のアレルギー学的検査では診断不能で,問診(NSAIDs使用歴,嗅覚低下,鼻茸手術歴の確認)が重要であり,確定診断には内服試験が必要である.・静注用ステロイドの急速静注は禁忌であり,NSAIDs誘発時にはエピネフリンが奏効する.

18 0 0 0 OA 1)肺と腎臓

著者
有村 義宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.2530-2536, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
著者
山口 昭三郎 金古 善明 山岸 高宏 大山 良雄 天野 晶夫 新井 昌史 中村 哲也 長谷川 昭 倉林 正彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.143-145, 2003-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

67歳,女性.クラリスロマイシンの投与を受けた後, torsades de pointesが頻発した.内服中止後に頻拍は消失し,本剤により惹起されたQT延長症候群と診断した.内服中止後も, QTc延長(0.51秒)とV2-6の二相性T波,イソプロテレノール,メキシレチン静注投与後のTU波の形態変化を認め,基礎に再分極異常の存在が示唆された.本剤は使用頻度の高い薬剤であり,投与後の経過に十分留意する必要がある.
著者
石川 勲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.1101-1107, 2014-05-10 (Released:2015-05-10)
参考文献数
11

運動後にみられる急性腎障害には,ミオグロビン尿性と非ミオグロビン尿性の2種類がある.ミオグロビン尿性はマラソンなど過度の運動により横紋筋が融解されて起こる急性腎障害で赤褐色尿(コーク色の尿)で発見される.血清CK値は基準値上限の20倍以上と著しく高い.一方,非ミオグロビン尿性は運動後急性腎障害(ALPE)で,典型例は運動会で200 mを全力疾走した後に,背腰痛で発見される.血清CK値は基準値内か軽度上昇で,腎性低尿酸血症患者に起こりやすい.