著者
前田 司郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.423-440, 1938

(1) 從來知られて居るアミノ酸十數種を混合し,白鼠を用ゐて飼育試験を行ぴ榮養上蛋白の代用となるか否かを檢した.その結果は全然陰性に終つた.<br> (2) 魚肉蛋白硫酸分解物のモノアミノ酸部分を與へると通常の生長をする.<br> 故に魚肉蛋白分解物モノアミノ酸部分に從來未知の新要素が存するものと考へられる.<br> (3) 魚肉蛋白分解物を諸種の方法にて分別し,既知のアミノ酸混合物飼料を基礎飼料として研究した結果,所謂モノアミノモノカルボン酸區分,木精可溶銅鹽の區分,酒精可溶亞鉛鹽の區分等に有效物質が來る事を知り得た.<br> (4) 薪有致物質が蛋白の一構成分子である事を種種の實験から推定した.<br> (5) グリシンアンヒドリド,グリシルグリシン,尿素,尿酸,アミノヴアレリアン酸無水物(小玉氏),&alpha;-アミノイソ酪酸,&alpha;-アミノー〓-酪酸,ヴアリン,イソヴアリン等は,無效である事を實験した.<br> (6) 以上の實驗結果を參照し,オキシアミノ酪酸に一致する物質を分離し,この添加によつて既知アミノ酸混合物が榮養上完全に蛋白の代用となの得る事を實験した.一方クロトン酸から合成したオキシアミノ酪酸に就ても,その有效な事を動物試験によつて確めた.