著者
劉 亜氷
出版者
目白大学
雑誌
目白大学経営学研究 = Mejiro Journal of Managemant (ISSN:13485776)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-15, 2022-03-31

本稿は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に増加したインターネット通販の非対面受取方法に焦点を当て,コンジョイント分析を用いて,消費者が非対面受取方法を利用する時に重視する属性を探った。コンジョイント分析の結果から,非対面受取方法の利用において,消費者が安心安全に荷物を受け取ることを意味する「確実性」を最も重視し,「確実性」,「コスト」,「移動」の順で優先度がつけられていることがわかった。クラスタ分析の結果から,確実性をきわめて重視するグループ,費用の節減を重視するグループ,確実性を重視しながらも費用の節減や移動を嫌がるグループという3つの利用者層の存在が明らかになった。以上のことから,「確実性」への懸念を軽減しない限り,非対面受取の普及はそれほど期待できないといえよう。また,受け取りにともなう費用の発生を嫌がる人が多数存在することから,確実性向上の措置を取る際に,消費者の負担を軽減する対策も必要であると考える。