著者
劉 瑞利
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.169, pp.31-45, 2018 (Released:2020-04-26)
参考文献数
18

本研究は,「YNU書き言葉コーパス」を用い,中国語を母語とする上級日本語学習者 (以下,上級CJL) の「名詞+動詞」コロケーションの使用について,日本語母語話者 (以下,JNS) との使用上の違い及び母語の影響を調査したものである。母語の影響に関しては,韓国語を母語とする日本語学習者 (以下,KJL) のデータで検証した。その結果,上級CJLはJNSと比べ:①コロケーションの延べ数は有意に多かったが,異なり数は同程度だった;②高頻度コロケーションを多く使用しているが,共起強度の高いコロケーションの使用が少なかった;③使用頻度上位30位のコロケーションにJNSと共通するものが多かったが,使用制限の少ない共起語を選ぶケースも見られた。また,誤用の25% (30例) は母語の影響だと母語話者に判断され,そのうち3例がKJLにも見られた。母語の影響は母語話者の直感による判断のみでは不十分であることを示した。
著者
劉 瑞利
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.166, pp.62-76, 2017 (Released:2019-04-26)
参考文献数
35

本研究は,日本語学習者の「名詞+動詞」コロケーションの使用と日本語能力との関係を明らかにすることを目的としたものである。扱うデータは,「YNU書き言葉コーパス」において下位群,中位群,上位群に分けられた中国語母語話者及び韓国語母語話者の日本語作文データであり,学習者全員が一般的に上級と称されるレベルである。3つのグループにおける「名詞+動詞」コロケーションの使用について調査した結果,以下の2点が明らかになった。①コロケーションの使用頻度は,学習者の日本語能力が上がるにつれ高くなり,日本語能力と正の相関関係がある。②コロケーションの誤用数は,中位群が有意に多いこと,上位群が有意に少ないことが確認された。日本語学習者の「名詞+動詞」コロケーションの習得は,学習者の日本語能力が上がるにつれ,誤用が一時的に増えるが,その後習得が進み,誤用が減っていくという過程を経ることが示された。