著者
加留部 謙之輔
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.669-675, 2017

<p>びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫,非特異型(diffuse large B-cell lymphoma, not otherwise specified, DLBCL-NOS)は世界的にも,本邦においても最も頻度の高い悪性リンパ腫である。近年の分子病理学的技術の進歩はDLBCLの遺伝子異常のメカニズムおよびその臨床病理学的関連性を明らかにしつつある。遺伝子発現プロファイルを基にしたDLBCLの分子分類は予後を予測するが,近年はFFPE標本を用いても同解析が可能になってきており,今後日常診断への導入など用途が広がる可能性がある。ゲノム異常は大きく転座,数的異常(増幅/欠失),変異の3種類に分けられる。転座では<i>MYC</i>,数的異常では<i>CDKN2A</i>の欠失,変異では<i>MYD88</i>および<i>TP53</i>の異常が予後不良と関連することがわかってきた。このレビューではこれらの分子メカニズムの詳細と臨床予後への関連性について論じる。</p>