著者
加藤 伸弥 藤森 和美
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.70-79, 2021-09-06 (Released:2021-09-06)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究の目的は,特性としてのシャーデンフロイデの感じやすさを測定するためのTrait Schadenfreude Scaleの日本語版(J-TSS)を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。研究1では,原版を作成する際に用いられた54個の予備項目を邦訳したものを日本人の大学生に実施し,301名の回答を分析した。その結果,J-TSSは良性シャーデンフロイデと悪性シャーデンフロイデの2種の因子を持つことが明らかとなり,おおむね充分な信頼性が示された。研究2では,2つのサンプル(183名,184名)の大学生を対象に,J-TSSと他の尺度を用いた調査を実施した。その結果,先行研究とおおむね一致する結果が得られたが,本邦において的確な項目表現を吟味した手続き上の影響により,厳密な妥当性までをも立証することはできなかった。以上により,J-TSSの将来的な可能性が論じられた。