著者
加藤 保宏
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.23-27, 2018-03-30 (Released:2018-07-31)
参考文献数
18

SLEは出産可能年齢の女性に多い疾患であるが,高齢発症のSLEも決してまれではない.50歳以降の発症を高齢発症SLE (late-onset) と定義する報告が多く,日本の特定疾患受給者をもとにした報告では50歳以降の発症が全体の30%近くを占めている.高齢発症例では若年発症例に比べ,男女比が低く,漿膜炎,神経症状を認める割合が高く,蝶形紅斑,光線過敏症が少ないといった特徴がみられる.また,高齢者ではSLEが鑑別にあがりにくく,典型的な症状が出にくいことや薬剤誘発性ループスをはじめとする鑑別疾患が多岐にわたるため診断までに時間がかかることも特徴とされている.治療については,海外でいくつかのガイドラインが発表されており,ステロイドと免疫抑制剤(ミコフェノール酸モフェチル内服もしくはシクロホスファミド点滴静注)の併用による寛解導入療法が推奨されている.しかしながら高齢者では腎機能や免疫力の低下も多くみられるため,副作用を考慮し,個々に応じた投薬の調整が必要である.