著者
宮前 多佳子
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.266-274, 2014-12-30 (Released:2015-02-28)
参考文献数
27

若年性線維筋痛症(JFM)は本邦の線維筋痛症の2.5-5%に相当する約10万人の症例が存在すると推察されている.臨床症状は成人例と類似し,全身痛,筋痛,関節痛などの筋骨格系症状に加え,睡眠障害,易疲労感や消化器症状などの非筋骨格系症状で構成される.線維筋痛症の診断は,アメリカリウマチ学会から特徴的圧痛点の存在に拠らない予備診断基準が提唱されているが,小児例については鑑別疾患も多く,主訴の信頼性が不確かであるため,特徴的圧痛点が診断根拠の中核として重要である.その病態については,“Central Sensitization”や遺伝的な要素の関与が近年報告され,functional MRIなどの機能的脳画像診断によって中枢神経の痛み刺激に対する疼痛関連領域の活性化所見が客観的に確認されるようになった.小児例の治療は,成人例では有効と認められつつある抗うつ薬などの適応は困難な一方で,薬物に頼らない,JFMに特徴的な性格気質を裏付ける心理・発達における問題点の見直しが有効な症例が存在する.また近年,パピローマウイルスワクチン接種後にJFMに類似した症状を呈する症例が報告されている.JFMとの相違の一つが高次脳機能障害に由来する,集中力・記銘力の低下がより顕著であるとされているが,この副反応の機序もJFMに共通した部分があると推察される.現時点で科学と非科学がいまだ混在している疾患であるが,徐々に科学による解明が進みつつある.最近の知見につき解説する.
著者
松本 美富士
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.239-252, 2015-12-30 (Released:2016-03-31)
参考文献数
28

本邦の多くのリウマチ医は線維筋痛症(fribromyalgia; FM)の病名の認識はあるが,疾患の存在に否定的であり,診療に対して拒否的である.最近の脳科学の目覚ましい進歩を背景に,非侵害受容性疼痛,特に慢性疼痛の分子機序,脳内ネットワークの解明などから,FMの疼痛も脳科学から解明されつつある.また,本邦では2003年から厚生労働省の研究班が組織され,疫学調査,病因・病態研究,診断基準,治療・ケア,診療体制の確立,ならびに診療ガイドラインの作成など精力的にプロジェクト研究が行われ,疾患の全体像がかなり具体的に見えてきた.その中で,特筆すべきことはFMの疼痛を,他の慢性疼痛と同様にアロディニアを伴う痛みの中枢性感作によるものと説明し得ること,この現象に脳内ミクログリアの活性化が認められ,いわゆる脳内神経炎症(neuroinflammation)の概念で説明できる可能性である.これら所見は近未来的な病態発症機構を標的とした画期的治療法の開につながるものであり,今後のさらなる発展が多い期待されるところである.病態以外にも厚労省研究班で得られた知見を中心に解説し,またEvidence Based Medicine (EBM)手法を用いて厚労省研究班と学会が合同で作成した,診断,治療・ケアについてのガイドラインも概説した.
著者
藤永 洋 高橋 宏三 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.146-150, 2009-06-30 (Released:2016-03-31)
参考文献数
14

Japanese Oriental (Kampo) medicine has been widely used to treat fibromyalgia. In Kampo medicine, the determination of therapy is based on “Sho” (diagnosis of Kampo medicine). However there have not been sufficient studies of the “Sho” in fibromyalgia. We therefore investigated the “Sho” in fibromyalgia by assessing the “Sho” in 27 patients with fibromyalgia: 20 females and 7 males, mean age 52.9±15.6 (27 to 89). The result showed 3 patients with “Jissho” (hyperfunction of body energy), 15 patients with “Kyojitsukansho” (medium of hyperfunction/hypofunction of body energy) and 9 patients with “Kyosho” (hypofunction of body energy). All patients showed “Kikyo” (deficiency of “Ki” (vital energy)), “Kiutsu” (insufficient circulation of “Ki” and “Ki” stasis in an organism)”, and “Oketsu” (insufficient blood-circulation and blood stasis). The “Oketsu” score of the 15 patients using Terasawa’s criteria were 27.0~67.0, mean score 43.5±10.1. Nine of the 15 patients showed severe “Oketsu”, which was indicated by a total score of more than 40 points. This finding indicated an intimate correlation with fibromyalgia and“Oketsu”.Several reports showed the presence of abnormal microcirculation in fibromyalgia. Abnormal microcirculation is considered to be related to “Oketsu”. Therefore, we considered that “Oketsu” is an important pathological condition to investigate and treat with fibromyalgia.
著者
浦野 房三
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.154-160, 2014-09-30 (Released:2015-01-28)
参考文献数
21

脊椎関節炎の本態は付着部炎であると言われている.今回,脊椎関節炎の中核である軸性脊椎関節炎を取り上げた.この疼痛病態が心因性,あるいは精神医学的疾患と誤診されていることが多く,有病率は高いにもかかわらず,通常の医療を受けられていない症例が極めて多い.我が国の報告では藤田らが和歌山県上富田町において,脊椎関節炎の有病率は0.2%であり,同地区のRAの有病率(0.2%)と同等であったと報告している.   2009年には仙腸関節のMRI所見を加えて,軸性脊椎関節炎(axial spondyloarthritis:axial SpA)分類基準が導入され,2011年には末梢性脊椎関節炎(peripheral spondyloarthritis:pSpA)の分類基準が提唱された.   この両分類基準を使うことにより,病態認識が早期に可能となり,有効な治療が期待できる.特にMRIによる病態の認識は,生物学的製剤の投与に踏み切るスタンダードとなる.X線学的に強直性脊椎炎と診断される以前にnon radiographic axial spondyloarthritis(nr-Ax SpA)と診断されることはwindows of opportunityと認識され,生物学的製剤の効果が期待できる期間とも考えられる.仙腸関節のX線診断による強直性脊椎炎の時代から新たな段階にパラダイムシフトしたと言える.
著者
岡 寛 小山 洋子 中村 満行 松本 美富士 西岡 久寿樹
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.45-50, 2014-03-30 (Released:2015-05-30)
参考文献数
18

線維筋痛症(Fibromyalgia:FM)は,全身に広範囲な痛みを主訴とする原因不明の疾患で,本邦に推定で200万人以上存在する.痛みの強さの評価は,従来Visual Analog Scale(VAS),Numeric Rating Scale(NRS)等によって行われてきたが,これらは主観的である.痛みを定量化できれば痛みの認知療法となり治療は格段に進化すると考えられる.昨今,痛みを定量的に評価できる痛み定量化システム(Pain Vision®)がニプロ社より実用化され,患者の持つ痛みを客観的に評価される事が可能になった. 我々はACR1990の分類基準を満たすFM患者83人の痛みを,現在のNRSとPain Vision®で測定し,比較検討した.その結果,Pain Vision®によるFM 患者の男性閾値は9.35±2.64μA(平均±SD),女性閾値は7.93±2.30μAであったが,FM の女性で閾値の低い集団が一定の割合存在した.Pain Vision®による痛み度は男性649.91±312.94,女性688.08±526.65,と男女ともに著明な高値を示し,FM 患者の痛み度は対照群の関節リウマチ(Rheumatoid arthritis:RA)患者の痛み度346.23±335.82より有意に高かった(P<0.0001).さらにFM 患者の女性では痛みの閾値が低く,疼痛知覚過敏との関連が示唆され,これに対して,RA患者では,閾値の低下はなかった.NRSの平均は,FM患者5.7±2.0とRA患者5.5±2.2では差がなかったが,FM患者ではNRSスコアが高いほど,痛み度が高い傾向が認められた(P=0.0177). Pain Vision®による痛み度の測定は,FM患者の痛みの病態を知るうえで,優れていると考えられる.
著者
松本 美富士 前田 伸治 玉腰 暁子 西岡 久寿樹
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.87-92, 2006-03-30 (Released:2016-12-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2

Fibromyalgia (FN) is a common rheumatic disorder in American and European populations. In Japan, however, FM is not a well-accepted concept because it is a poorly recognized disorder. Epidemiological findings of Japanese patients with FM are still unclear due to a lack of nationwide epidemiological surveys. We conducted the first nationwide epidemiological survey for FM in Japan. The estimated annual number of patients diagnosed and treated in hospitals was 2,670 (95% confidence interval (CI) 1,850-3,490), and the number of patients treated by Japanese rheumatologists was 3,930 (95% CI 3, 220-4,640). Only 31.7% (734/2,313) of Japanese rheumatologists could diagnose the patient as having FM. The age distribution was from 11 to 84, with an average age of 52.3±16.2 years of age and 3.6% of them were in their childhood. The estimated onset ages were 44.0±16.1 (9-76) years, and the time elapsed from onset to the survey date was 4.7±6.7 (0-50) years. The male to female ratio was 1: 4.8, and primary FM to secondary FM ratio was 3.1: 1. Among secondary FM cases, underling disorders were as follows: rheumatoid arthritis (35.5%), other rheumatic disorders (44.1%) and others (20.4%). The Japanese patients were treated by rheumatology clinics and physicians. Most of the patients were outpatients, and only 12.5% were hospitalized. For one year, the rate of recovery from FM was only 1.5%, and a half of the patients had poor activity in daily life. These findings show that only a small portion of FM patients would be received medical management in Japan.
著者
西山 進 相田 哲史 吉永 泰彦 宮脇 昌二
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.220-226, 2016-09-30 (Released:2016-10-30)
参考文献数
9

目的:原発性シェーグレン症候群(primary Sjögren’s syndrome: pSS)患者の疾患活動性評価と臨床像との関係を調べた. 対象・方法:2010年8月から2014年12月に当科を受診したpSS 74名の臨床情報を診療録から抽出した. 結果:全例女性で,平均年齢は受診時60.7±12.6歳,発症時48.0±13.7歳であった.活動性指標のESSPRI(EULAR Sjögren’s Syndrome Patient Reported Index)とESSDAI(EULAR Sjögren’s Syndrome Disease Activity Index)はそれぞれ72と70名で評価され,中央値はそれぞれ 4.3と3.0であった.ステロイドは60.8%に使用され,投与量はPSL換算で平均3.1±2.1 mg/日であった.ESSDAI<5(低疾患活動性),5~13(中),≧14(高)はそれぞれ45,19,6名であり,高疾患活動性では全例ステロイドが使用され,そのステロイド使用量(6.3 mg)は中および低疾患活動性(両者とも2.7 mg)よりも有意に多かった.発症が40歳未満と40歳以上を比較すると,ESSDAIは40歳未満の若年発症者で有意に高く(中央値7.0 vs. 2.0),その構成成分のうちリンパ節腫脹に有意差を認めた.ESSPRIは両群で差を認めなかったが,その構成成分のうち疲労自覚は若年発症者で有意に高値であった. 結論:若年発症のpSSは疾患活動性が高く,疲労とリンパ節腫脹が顕著であった.
著者
三宅 幸子
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.76-78, 2013-03-30 (Released:2015-08-31)
参考文献数
11
著者
磯村 達也 村上 亜弥 犬塚 恭子 川口 美佳 佐藤 恵美子 中村 郁朗 岡 寛 KP White 西岡 健弥
出版者
The Japanese Society for Clinical Rheumatology and Related Research
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.130-136, 2014

目的:London Fibromyalgia Epidemiology Study Screening Questionnaire (LFESSQ)は6問からなる英語の質問票で,一般集団を対象とした疫学研究において,線維筋痛症患者をスクリーニングするためにWhite KPらによって開発された.LEFSSQを日本の臨床現場に導入するため,言語的妥当性を担保した日本語版を作成した.<br>方法:日本語版の作成は,開発許可を取得後,言語的な妥当性を担保した翻訳版の開発において標準的に用いられる手順(①順翻訳,②逆翻訳,③パイロット調査)に沿って実施した.この手順を通し,原作と同等の内容が反映された,日本人にとってより自然な文章表現である翻訳を目指した.内容の同等性については,適宜,原作者に確認した.<br>結果:①順翻訳:日本語を母国語とする2名の翻訳者が,それぞれ日本語に翻訳し,協議を通して一つの翻訳案を作成した.②逆翻訳:英語を母国語とする独立した翻訳者が,英語に逆翻訳した.その後,原作者や専門医との協議を経て,日本語暫定版を作成した.③パイロット調査:6名の日本人成人男女を対象に面接調査を行い,結果を踏まえ,日本語暫定版の文章表現の妥当性を検討した.参加者は,6名中4名が女性,平均年齢は50.0歳であった.調査の結果,質問票の分かりやすさ,及び表現や内容の正確な理解は,全体として問題はなかった.<br>結論:一連の作成手順と検討を通し,言語的妥当性を担保した日本語版LFESSQを作成した.
著者
近森 正幸
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.317-321, 2014-12-30 (Released:2015-02-28)

21世紀を迎え,医療の高度化と高齢社会の到来で業務量も膨大になるとともに,診療報酬も出来高払いからDPCによる一日包括払いに変わり,「早く元気になって自宅へ帰ってもらう」という付加価値を提供するようになった.今回,マネジメントの難しいチーム医療のイロハを述べてみたい. 病院全体から見れば,チーム医療を情報共有の仕方でカンファレンスですり合わせする「もたれあい型」と情報交換で情報共有する「レゴ型」に分類できるが,リウマチの診断,治療という業務を行っている現場の視点で分類すると,「人事レバレッジ」と「タスクシフト」の2種類に分かれる. [人事レバレッジ」のレバレッジは梃子であり,梃子をきかせて働かせるように医師が判断し,その指示のもと一緒に業務を行う方法である.スタッフの専門性が低いため,医療の質も労働生産性もあまり向上することがなく,医師,看護師の負担軽減が大きな役割となる. 「タスクシフト」は業務の代替を意味しており,医療専門職がそれぞれの視点で患者を診,判断し,介入する自立,自動が特徴である.専門性が高いことにより医療の質を高め,スタッフの数だけ労働生産性を高めることができる. DPC時代のチーム医療においては,診療報酬の加算の有無にかかわらず必要であればスタッフを雇い,専門性を高め,自立,自動するスタッフに育て上げることが重要で,そうしてこそマネジメントができるようになりサービス業の付加価値を生み出すことが可能となる.
著者
Wibowo Tansri 河本 恵介 山口 勇太 石田 裕 吉峰 由子 真鍋 侑資 原 侑紀 矢賀 元 中原 英子 比嘉 慎二 前田 恵治 緒方 篤
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.114-120, 2017-06-30 (Released:2017-09-06)
参考文献数
11

症例は75歳男性.血球減少・腎機能悪化・発熱・炎症反応高値に加え,抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性,抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体陽性より膠原病が疑われたが心エコーにて僧帽弁に疣腫形成を認めたため,血液培養陰性であったが感染性心内膜炎(IE)として抗生剤を開始した.抗生剤に対する反応が十分ではなかったが,Bartonella属抗体の有意な上昇を認めたことが適切な抗生剤の選択につながった1例を経験したので報告する.
著者
織部 元廣 永野 修司 立川 裕史 塚川 博志
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.24-30, 2007-03-30 (Released:2016-12-30)
参考文献数
25

We evaluated the effects of fasting on symptoms in 15 fibromyalgia syndrome (FMS) patients and 6 rheumatoid arthritis (RA) patients over 10 days in an open, non-randomized, controlled study. The results revealed significantly greater improvement (p<0.05) in the visual analogue scale (VAS) of pain in the 13 out of 15 FMS patients who completed the fasting versus the 6 RA patients in the10 days duration. Both groups reduced in body weight with a significant average loss of 5 kg (p<0.01) respectively. The appearance of Ketone bodies in urine did not seem to affect the level of pain reduction. Obviously, the VAS score of the RA group showed a different pattern in the10days duration compared to the FMS group. The RA group showed a relatively “straight line pattern”. That is within the10 days, relatively insignificant fluctuation in the VAS was observed within the entire group. On the other hand, almost every one in the FMS group showed a “fluctuated line pattern” of aggravation, and after that the VAS score rapidly decreased. As a marked decrease in the VAS score occurred when starvation appeared, it suggested the sensation of starvation played an important role in the disappearance of bodily pains with the FMS group. It is therefore concluded that fasting therapy has a beneficial effect on FMS symptoms, as compared to the insignificant effect on RA symptoms, at least in a short period such as 10 days.
著者
岩田 康男 立石 博臣 楊 鴻生 厚井 薫 福西 成男 今村 史明
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.37-41, 2010-03-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
9

目的:外来通院中の関節リウマチ(以下RA)患者の喫煙状況を調査した. 対象・方法:RA患者115名,変形性関節症(膝)(以下OA)患者59名で,調査項目はRA罹患前や罹患時の喫煙歴,現在の喫煙習慣,喫煙量,その期間や検査データ(リウマトイド因子(RF),CRP,ESR,WBC,Hb)などである.喫煙者の定義はSmokers(以下S群)は罹患時に1日に少なくとも1本以上喫煙していた患者,Never smoked(以下NS群)は過去,現在を含めて全く喫煙をしていない患者,Ex-smokers(以下ES群)は罹患時に6ケ月以上喫煙を中止していた患者とした. 結果:RA患者は女性92例,男性23例,OA患者は女性50例,男性9例であった.性別に見てみるとRAではS群は女性で92例中11例,12.0%,ES群は5例,5.4%であり,男性でS群は23例中15例,65.2%,ES群は13.0%であり,男性ではS群とES群を合わせると78.2%を占めていた.リウマトイド因子は男性RA患者のS群で平均210.0U/ml,NS群で21.5U/mlと有意にS群において高値であった. 結論:男性RA患者の65.2%は罹患時に喫煙者であり,国民栄養調査結果と比較して高率であった.男性RA患者では喫煙者で有意にRFが高値を示した.男性喫煙者ではRAに罹患するリスクが高まっている可能性がある.
著者
竹内 靖博
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.198-202, 2013-09-30 (Released:2015-06-30)
参考文献数
6

体内におけるビタミンD作用は,その特異的受容体を活性化することにより発現される.ビタミンD受容体に結合してビタミンD作用をもたらすリガンドは,1α,25水酸化ビタミンD[1,25(OH)₂D]である.天然型ビタミンDは体内において,肝臓および腎で水酸化されることにより,1,25(OH)₂Dとして生理活性を獲得する.1,25(OH)₂Dは主に腸管からのカルシウム・リン吸収を促進することにより,骨・カルシウム代謝調節に重要な役割を果たしている. ビタミンDの作用障害は,骨石灰化障害を生じてくる病・骨軟化症をもたらす重症のビタミンD作用不全と,主に骨吸収の亢進による骨代謝障害をもたらす軽症のビタミンD作用不足とに大別される.また,ビタミンD充足度の低下に関わる問題が臨床的に重要である.従来の見解とは異なり,わが国の成人におけるビタミンD充足度はきわめて不良であることが明らかにされており,骨・カルシウム代謝異常症におけるビタミンDの重要性は増大している.ビタミンD充足度の適切な評価と不足への積極的な対応が望まれる. 骨折の予防を目的とした骨粗鬆症治療においては,活性型ビタミンD₃製剤が広く用いられてきた.新規の活性型ビタミンD₃誘導体であるエルデカルシトールは,既存のアルファカルシドールを上回る骨折抑制効果を有することが明らかにされており,これからの骨粗鬆症治療における主要な活性型ビタミンD₃製剤となることが予想される.

2 0 0 0 OA NKT細胞と疾患

著者
三宅 幸子
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.154-160, 2010-06-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
12

NKT細胞は,NKマーカーを発現するT細胞の総称だが,特にT細胞受容体(TCR)アルファ鎖に可変性のないinvariant鎖を発現するiNKT細胞が注目されている.iNKT細胞は,多型性のないCD1d分子により提示された糖脂質を抗原として認識し,TCRを介した刺激により様々なサイトカインを短時間で大量に産生する能力を持つ.抗原受容体の半可変性,クローン性の増殖を必要とせず組織に多数存在し,すぐに反応を開始でき,自然免疫系と獲得免疫系の中間的存在として様々な免疫応答の調節に関与する.また,α-ガラクトシルセラミドやその誘導体であるOCH などの合成糖脂質抗原で特異的に刺激できることから,疾患治療の標的としても注目されている.iNKT細胞は,その多彩なサイトカイン産生能から,感染,悪性腫瘍サーベランス,自己免疫,喘息などの免疫疾患以外にも,動脈硬化症など様々な病態に関与する.
著者
永渕 裕子 伊藤 彦 小泉 宏隆 風間 暁男 高木 正之 山田 秀裕 尾崎 承一
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.75-81, 2016-03-30 (Released:2016-05-31)
参考文献数
13

子宮腫瘍と両側副腎腫瘍を呈した悪性リンパ腫(ML)合併シェーグレン症候群(SjS)の2剖検例を経験した.症例1:関節リウマチとSjS合併の83歳女性.下腿浮腫精査で子宮腫瘍を指摘.症例2:SjSの83歳男性.発熱精査で両側副腎腫瘍を指摘.2例共生検できず.剖検でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断が確定した.MLによる子宮と副腎病変は稀で,SjSでの報告はない.SjSに合併する腫瘍の鑑別として重要と考え,報告する.
著者
八木 信行 岩下 輝美 小柳 隆之 石川 浩明
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.73-78, 2010-03-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
16

目的:関節リウマチ患者を対象に実施したPMSの症例を用いて,腎機能別のミゾリビンの有効性と安全性ならびに腎機能への影響を検討した. 対象・方法:対象は1,805例の登録症例のうち,24週時にACRコアセットによる評価が実施され,投与開始時の推定腎機能(eGFR)が算出可能であった417例とした.eGFRはsCrと年齢から,日本腎臓学会CKD対策委員会が作成した日本人のeGFR推算式から算出しCKD stageに分類した.有効性はACRコアセットの20%改善症例率を検討した.有害事象は担当医師が本剤との因果関係を完全に否定したものを除き副作用と分類した. 結果:CKD stageによるACR20の改善率は有意な差を認めなかった.副作用の発現頻度にもCKD stageで発現頻度に違いはあるが,有意な差は認めなかった.腎機能は各CKD Stageとも腎機能低下は認めなかった.特にStage 3では,開始時のeGFRが50.2mL/min/1.73m²±7.0から24週後には60.2mL/min/1.73m²±17.9と有意な腎機能の改善が認められ,Stage 2でも同様であった. 結論:ミゾリビンはCKD stage 3までの患者や,高齢RA患者に対しても比較的使用しやすい薬剤ではないかと考えられた.
著者
岩下 輝美 吉田 寿雄 岡田 研也
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.37-44, 2015-03-30 (Released:2015-04-30)
参考文献数
16

ミゾリビンの関節リウマチ患者に対する使用実態の把握,使用実態下における安全性・有効性に関する情報を収集し,本剤の適正使用に資することを目的として,2008年10月~2010年10月の間に本剤が投与開始された関節リウマチ患者を対象に市販後調査を実施した.安全性解析対象症例3,325例の平均年齢は66.2±12.5歳で,65歳以上が61.1%,75歳以上が28.4%であった.合併症は59.3%に認められた.副作用は330例に392件発現し,副作用発現症例率は9.92%,重篤副作用発現症例率は1.32%であった.EULAR改善基準で有効性を評価した結果,24週後の治療反応性はgood response13.4%,moderate response32.6%,no response54.0%であった.65歳以上と未満で,副作用発現症例率と有効性には差は認められなかったが,重篤副作用発現症例率は65歳以上が未満と比較して有意に高かった.本調査において,ミゾリビンは高齢者や合併症のあるリスクの高い症例に多く投与されていたが,比較的有効で安全な投与が可能であったことから,このような症例に対してはミゾリビンが選択肢の一つになり得ると考えられた.