著者
加藤 多津子 上塚 芳郎
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.9-13, 2010-02-25
被引用文献数
1

今回われわれは、東京女子医科大学病院における外来診療待ち時間が電子カルテの導入後、経時的にどう変化したかについて待ち時間調査を行った。また、予期されたほどの待ち時間短縮が見られなかった理由についても調査を行ったので報告する。診療待ち時間調査は、電子カルテ導入直後の2003年8月、2004年5月、2005年3月におのおの約1週間、診療科別に(診察開始時刻-予約時刻)を電子カルテシステムから検索して算出した。、待ち時間の延長の原因については、各診療科の外来医師の配置体制、予約充足率に加え、2004年4月から2005年5月までの月ごとの電子カルテヘルプデスクへの問い合わせ情報をもとにした分析も行った。、結果は、電子カルテ導入直後の待ち時間が平均47分、導入20ヶ月で41分であった。待ち時間の遅れを来たす原因としては、診療時間の長さと予約の取り方、すなわち予約枠オーバーの影響が大きいと思われた。また、電子カルテ操作技術の未熟も一因となっていることが判明した。これに対しては、大学病院のように医師の交代が頻繁に生じる場合には、年度途中であっても定期的に操作練習を行う必要があると思われた。一方、電子カルテの操作性のさらなる向上も、待ち時間短縮に必須であると考えられた。