著者
加藤 好孝
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.565-578, 2002-11

第42次南極地域観測隊夏隊20名は、越冬隊40名、同行者5名(環境庁1名、報道1名、大学院生1名、中国およびスロバキアからの交換科学者2名)とともに合計65名で2000年11月14日南極観測船「しらせ」にて東京港を出港し、船上および南極地域において各種観測・設営活動を行い、翌2002年3月28日に成田空港に帰国した。 往路においては海洋観測に加え、アムンゼン湾リーセル・ラルセン山での地学調査隊の送り込みとその支援活動を行った後、12月30日に「しらせ」は昭和基地に接岸した。それに先立ちヘリコプターにより第1便を昭和基地へ、また内陸旅行隊の人員物資をS16へ空輸した。昭和基地接岸後は、物資輸送、持ち帰り物資の積み込み、建設作業、沿岸野外調査などを実施した。昭和基地への輸送物資量は1049トンに達した。基地における建設作業として、光学観測棟、焼却炉棟、廃棄物集積場、西部地区分電盤小屋、送油ポンプ小屋、配管メンテナンス抗等の新築作業に加え、燃料タンクの新設・移設、太陽熱温水器の設置、防油堤の設置、旧食堂棟の撤去、倉庫棟および防火区画Aの屋根補修、大型アンテナレドームの補修など大小合わせて25項目、53日間にわたる延べ2440人日の作業を実施した。また夏期観測として、生物、海洋、地学、海洋、宙空、気象などの沿岸調査をリュツオ・ホルム湾露岩域を中心に実施した。夏隊・同行者合計20名は2001年2月15日までに「しらせ」に戻った。帰路においては、リーセル・ラルセン山の地学パーティーを収容するとともに、同地域およびトナー島に残置されていた建物・設備をすべて撤収し、海洋観測を実施しつつ「しらせ」は3月21日にシドニー港に入港、観測隊は3月28日に空路帰国した。