著者
十時 忠秀 森本 正敏 谷口 良雄 平川 奈緒美 谷口 妙子 峯田 洋子 加藤 民哉 原野 清
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.3-11, 1994-04-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
12

(1) 遺体で星状神経節の位置を肉眼解剖学的に検討したところ, 大部分の例で, 第1胸椎の高さで肋骨頸部に位置していた.(2) 星状神経節節前線維の起始細胞は第1胸髄から第10胸髄まで認められた.(3) 星状神経節の節後線維が分布する皮膚領域は, C3~T12で, 最も多く分布している領域はC6~T5であった.(4) 心臓における交感神経支配は, 両側性で, 中頸神経節の関与が最も多く, 星状神経節の遠心性線維は, 主に洞房結節, 心房に終止していた.洞房結節に至る遠心性線維は, 右の中頸神経節および星状神経節からの方が多く, 右の星状神経節ブロックの方が, 左のブロックよりも心拍数, 心リズムに与える影響が多いと思われた.(5) 内頸および外頸動脈には, 星状神経節の節後線維は分布しておらず, 主に, 上頸神経節の節後線維が分布していた.(6) 上腕骨の骨髄には, 星状神経節の節後線維が多数分布していることがわかった.(7) 星状神経節には感覚神経が投射していることがわかった.(8) 上頸神経節, 中頸神経節, 星状神経節には, 相互投射があることがわかった.(9) C6-SGBは, 上頸, 中頸神経節ブロックが適応となる顔面, 頭部の疾患に, C7-SGBは, 上肢の交感神経遮断が必要な疾患に行った方がよいと考えた.