著者
加藤 義臣 勝 康雄 坂手 栄
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.249-252, 1981-11-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1

ヤママユガの配偶行動と産卵の様子を30°C-24°Cの室温条件下において観察した。雌は羽化当夜からコーリング行動をとった。コーリングの時刻は日の入りから日の出に及んだ。本種のコーリングは,ポリフェムス蚕の場合と異なり,寄主植物葉なしの条件下でも活発にみとめられた。興奮した雄は腹側から雌の腹部に掴みかかり,交尾を行った。雌は羽化後3日間を通して高い交尾活性を示したが,雄の交尾活性は羽化後1日目のみに高かった。羽化当夜に交尾した雌では産卵活性の高まりに2日間を要したが,1日目またはそれ以後に交尾した雌では産卵活性の高まりはその後の1日間で十分であった。このことから,産卵活性の高まりには交尾のみならず,雌の日齢に連関した何らかの内的要因も関与していることが示唆された。