著者
勝川 和彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.32-36, 1989

国立療養所北陸病院老人デイケア通所中の痴呆老人8名を対象に, モーツアルト作曲アイネクライネナハトムジイクを食事への導入音楽として昼食前に土曜, 日曜を除く毎日3カ月間にわたつてBGMとして流した. その後無音響閉眼安静時脳波と音楽を流している間の閉眼安静時脳波を記録しFFTによる解析をおこなつた. 脳波はδ波(2~3.8Hz), θ波(4~7.8Hz), α波(8~12.8Hz), β1波(13~19.8Hz), β2波(20~25.8Hz)に分類し前頭部, 中心部, 後頭部, 右側, 左側において比較した. 対照音楽としてサラサーテ作曲チゴイネルワイゼンを同様の方法で比較した.食事時導入音楽ではθ波が全領域平均で有意に減少し(P<0.05), 特に右側θ波に有意な減少(P<0.05)がみられた. 対照音楽では反対に全領域平均でθ波が有意に増加し(P<0.05)特に後頭部のθ波が有意に増加(P<0.05)していた.