- 著者
-
勝見 さち代
村上 信五
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 (ISSN:09143491)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.5, pp.137-143, 2010-04-30
Ⅰ はじめに
顔面神経麻痺の評価法には大きく分けて2つの方法がある。1つは顔面全体の印象を概括的に捉えて麻痺程度を評価する方法(gross system)で,もう1つは顔面表情の主要な機能を区分して幾つかの単位に分け,それぞれを個別に評価し,その合計で麻痺程度を評価する顔面部位別評価法(regional system)である。現在,臨床において汎用されている評価法は,gross systemではHouse-Brackmann法があり,regional systemでは40点法(柳原法)がある。前者は主に聴神経腫瘍術後の麻痺を対象として考案され,後者は主にBell麻痺,Hunt症候群による麻痺を対象としてわが国で考案された。また,後遺症評価に重点をおいたSunnybrook法もある。
本稿では,現在臨床的に用いられている代表的な評価法について解説する。