著者
原田 生功磨 國井 博史 小山 新一郎 勝見 さち代 村上 信五
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.109-115, 2009 (Released:2010-07-01)
参考文献数
22
被引用文献数
3

口蓋扁桃摘出術における周術期抗生剤の投与期間を手術当日のみから術後3日以上に延長, 術後経過をカルテで追跡した. その結果, 抗生剤投与日数を3日以上に延長しても術後出血率, 解熱鎮痛剤使用数, 発熱の有無に影響がみられなかった. 周術期の抗生剤投与は手術当日のみで十分と考えられたが, 術後出血例の検討では局所感染を伴うものもあった. 術前より術野の常在菌叢, 薬剤感受性を把握し最適な抗生剤を使用するなど症例毎に感染対策を行うことが良いと思われた. 一方, 抗生剤使用期間にかかわらず, 解熱鎮痛剤の使用が多いと, 有意に術後出血が増加した. その原因は不明であり解熱鎮痛剤の抗血小板作用なども含め今後の検討を要する.
著者
勝見 さち代 村上 信五
出版者
医学書院
雑誌
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 (ISSN:09143491)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.137-143, 2010-04-30

Ⅰ はじめに 顔面神経麻痺の評価法には大きく分けて2つの方法がある。1つは顔面全体の印象を概括的に捉えて麻痺程度を評価する方法(gross system)で,もう1つは顔面表情の主要な機能を区分して幾つかの単位に分け,それぞれを個別に評価し,その合計で麻痺程度を評価する顔面部位別評価法(regional system)である。現在,臨床において汎用されている評価法は,gross systemではHouse-Brackmann法があり,regional systemでは40点法(柳原法)がある。前者は主に聴神経腫瘍術後の麻痺を対象として考案され,後者は主にBell麻痺,Hunt症候群による麻痺を対象としてわが国で考案された。また,後遺症評価に重点をおいたSunnybrook法もある。 本稿では,現在臨床的に用いられている代表的な評価法について解説する。