著者
坂本 邦彦 北久保 みゆき 平井 希依
出版者
尚美学園大学スポーツマネジメント学部
雑誌
尚美学園大学スポーツマネジメント研究紀要 = Bulletin of sport management, Shobi University (ISSN:24358231)
巻号頁・発行日
no.1, pp.91-125, 2020-12-25

米国で誕生したチアリーディングの歴史を概観し、それが日本に伝わる中で、一大学のサークルがチアダンスを通して全米大会出場を目標にさまざまな挑戦を行っていく過程とそこで演じられた作品を分析する方法を考察していく。チアリーディングの始まりは、1800年代後半の米国の大学スポーツに見ることができる。やがてグローバルな規模で展開していく中で、1980年代から日本において競技としてのチアリーディング、パフォーマンスチアの世界が始まっていった。全国の高校・大学でサークル活動が活発化していく中で、2007年4 月に尚美学園大学女子チアダンス部が誕生した。チーム名のVERITASベリタスは、真理を意味するラテン語で、ヨハネ福音書の言葉に由来する。米国では大学スポーツを統括する組織として、1910年に全米大学アスレチック協会NationalCollegiate Athletic Association(NCAA)が設立された。NCAAは、学生アスリートを競技者である前に学生であるとする立場を明確にしており、学業成績の管理にも力を入れている。VERITASもこの趣旨に沿った活動を心掛けてきた。大会での演技を記録する方法としては、映像によるものが最も理解しやすく、かつ、記録に残しやすい。しかし、そこには作品のストーリー、ジャッジによる評価、コメントなど言語化されたデータを合わせて記録することは困難である。身体の動きを客観的に記録することに留まらず、それが全体のコンテクストの中でどのような意味を持つか、演じる側の解釈とともにジャッジによる解釈も言語化することにより、これまでの大会演技を記録する試みを行った。本稿では、海外大会で演じた4つの作品研究を取り上げる。