著者
河本 亮子 北山 真奈美 久保田 千恵
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.287, 2015

はじめに現在は自然を楽しむ環境にはあるが重症化に伴い屋外に出かける機会が減少している。そこで室内でより自然に近い空間作りや季節にあった遊びを模索したので報告する。目的1.秋らしい空間となるように自然物を使って制作する。2.視覚・聴覚・触覚・嗅覚それぞれの感覚を刺激する療育活動を設置し個々にあった遊びを楽しむ。方法対象者:4病棟160名期 間:2014年10月27日〜11月21日場 所:第1療育訓練棟内容1.木の実のケーキ作り(自然物やホイップ粘土でケーキを作る)2.缶(感)にあたってHow many ?3.木の実ころころ(自然物を転がしスピードや音の変化を楽しむ)4.歌&楽器演奏(♪この木なんの木♪)5.サクサク通り(落ち葉のじゅうたんを通り音を楽しむ)6.どんぐりマラカス(ペットボトルの中のどんぐりを振り音を楽しむ)7.スノードーム風まつぼっくりパズル(シャカシャカ振ってリングを松ぼっくりに引っ掛ける)8.桜の葉の塩づけ(匂ってみよう)9.柿の木ライトアップ結果および考察数の概念の理解が難しい利用者も共感し楽しむことで感覚刺激を覚醒させ喜びや達成感が味わえた。複数の選択肢を作ったことで興味や関心がある活動を見つけることが出来、利用者が主体的に活動出来た。利用者だけでなく御家族や病院職員の協力を得て実りの空間を作ることが出来たことは目に見える療育活動となった。持ち運びができる物品にしたので週1回の病棟での集団活動や離床が難しい超重症児(者)の利用者にベッドサイドで行うことが可能になり活動の幅が広がった。まとめ移転後の新病院は屋外に出る機会が困難になるためこのような空間作りや自然物を使った遊びは有用であると考えられた。今後も入所生活が豊かになるよう様々な体験ができる遊びや環境作りを創意工夫していきたい。