著者
北村 由羽 寺戸 えみ 田中 大輔
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P25, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
3

金属-有機構造体 (MOFs) の合成においては, 反応条件のわずかな違いにより様々な 反応状態を経由するため, 結晶構造が異なる結晶生多形が多数生じる可能性がある. 特 に, ランタノイド金属 (Ln) を中心に持つ Ln–MOFs は複数の結晶多形が存在する. 合 成におけるパラメーターは無数に存在し, これらの要素は複合的に影響するため, その 影響の評価が困難であり, 結晶多形を選択的に合成するためには試行錯誤に基づく実 験が必要不可欠であった. 本研究では, 機械学習を活用し, Ln–MOFs 合成における支 配的因子を統計的に評価することを目指した. 実際に, 溶液の濃度, 反応温度や時間, 金属の種類など様々な条件を組合せソルボサーマル合成を行い, 実験データの収集を 行い, 実験結果に対して決定木学習を行った. その結果, 合成に影響を及ぼす支配的因 子はランタノイドの試薬会社であることが明らかとなり, 試薬中に含まれるわずかな 不純物の存在が結晶化に影響を及ぼすことが示唆された.