著者
藤瀬 幸 孝田 雅彦 桑本 聡史 三好 謙一 木科 学 加藤 順 徳永 志保 岡野 淳一 北浦 剛 武田 洋正 村脇 義和
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.600-606, 2013-09-20
被引用文献数
1

症例は50歳代の女性.入院6年前(2004年3月)からトリクロルメチアジド,ロサルタン,入院3年前からロスバスタチン,入院1年前からはフルボキサミンを内服していた.2010年6月に肝酵素の上昇を認め,入院となった.AST 505 IU/L,ALT 1076 IU/Lと高度の上昇を認めたため,薬物性肝障害を疑いフルボキサミン,ロスバスタチンを中止した.しかし,入院3日目には,AST 545,ALT 1182とさらに上昇したため,トリクロルメチアジド,ロサルタンも中止したところ,肝機能障害の改善を認めた.肝生検では急性肝炎の回復期の像であり,DLSTでロサルタンが陽性を示し,中止後に肝障害の改善が見られたことより総合的にロサルタンによる薬物性肝障害と診断した.6年以上もの長期間ロサルタン内服後に薬物性肝障害を発症した例はまれであり,長期投与薬物も肝障害の原因であることが示唆された.