著者
北野 守人 吉部 亮 野間 靖弘 平塚 哲晃 望月 武
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.216, 2011

【はじめに】<BR>平成21年 全国高等学校野球選手権大会 東・西東京大会(以下夏季大会)からメディカルサポートチームは東京都高等学校野球連盟(以下都高野連)の依頼により「大会期間中の高校野球選手のコンディショニング、スポーツ障害予防の啓発を図る」ことを目的に発足した。そこで、東京都での高校野球メディカルサポートの活動内容と結果を報告し、今後の課題を考察する。<BR><BR>【対象と内容】<BR>夏季大会は準々決勝以降の14試合(2会場)、春季東京都高等学校野球大会(以下春季大会)・秋季東京都高等学校野球大会(以下秋季大会)は準決勝以降の3試合(1会場)に出場した選手を対象に実施した。理学療法士4名はベンチ裏で待機しチームからの依頼や傷害発生時等の必要と判断した場合にサポートを行なった。その内容は、アイシング・コンディショニング・テーピング・今後の指導・急性外傷への応急処置等であった。平成22年 夏季大会準決勝から看護師1名が参加し、救護室で主に観客に対し熱中症や傷害発生時等にサポートを行なった。また、後進育成のため理学療法養成校から学生助手を採用している。実際に行なったサポート内容は全て記録用紙に記載し、大会ごとにメディカルサポート報告書を作成し都高野連に提出した。<BR><BR>【結果】<BR>2年間における理学療法士の総サポート件数は、36試合で167件(平成21年 夏季大会 16試合 36件、平成22年 春季大会 12件、平成22年 夏季大会 88件、平成22年 秋季大会 31件)であった。サポートで多い順は、アイシング80件、コンディショニング42件、テーピング・今後の指導17件。1試合平均は約5件であった。部位別のサポートでは上肢が約47%、下肢が約44%、頭部・頚部・体幹が約9%であった。また、看護師の対応件数は熱中症35件、外傷7件、救急搬送7件であった。<BR><BR>【考察と今後の課題】<BR>夏季大会において、メディカルサポート実施件数が前年の2.4倍に増加した。これは、都高野連の広報活動や前年度の実績に加え、夏季大会の抽選会前に実施した理学療法士による公演活動などがメディカルサポートの認知向上に寄与したと考えられる。今後更にメディカルサポートを浸透させるため、大会期間中だけではなく大会に向けたコンディショニング・障害予防へ、より深く関われるよう年間を通じて啓蒙活動を行うことが重要である。また、部位別のサポート結果から上肢へのサポートが多く、今後も競技特性に沿ったスポーツ障害への研鑽継続のためメディカルサポートチーム内での情報交換・講習会を行なっていく。よって、高校野球選手のコンディショニング・スポーツ障害予防のため都高野連・指導者・審判団・メディカルサポートチームが更に協議し、組織的な医療連携を構築し協動で選手のサポートをしていくことが重要である。
著者
北野 守人 柳井 孝介
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会
巻号頁・発行日
vol.31, 2012

【はじめに】<BR>東京都高等学校野球連盟(以下都高野連)からの依頼を受け、合同練習(以下練習)、壮行試合及び日米親善野球 東京選抜ロサンゼルス遠征(以下遠征)におけるメディカルサポート(以下MS)を実施した。そこで、遠征における活動内容を報告し、今後の課題を考察する。尚、発表するにあたり都高野連の同意を得た。<BR>【対象と目的】<BR>東京都の高等学校から1・2年生の選手20名を平成23年度 秋季東京大会の結果を参考に都高野連の役員会にて選抜。練習(4日間)、壮行試合(2試合:日大三高 全国優勝メンバー、東都1部リーグ 選抜チーム)及び遠征:平成23年12月23~31日(4試合)に参加した選手20名を対象に実施。理学療法士は、対 東都1部リーグ 選抜では2名、遠征等は1名参加。遠征のMS目的は、1.傷害・障害予防2.感染予防3.時差ぼけ対策4.体調管理の4点を挙げ、対策・準備・対応を進めた。<BR>【結果】<BR>MSを行なった選手は20名中17名、内容別件数は延べ143件(練習・壮行試合:41件、遠征:102件)。内訳は、アイシング70件、野手コンディショニング17件、テーピング15件、外傷14件、今後の指導9件、投手コンディショニング7件、体調管理指導4件、栄養指導3件、処置3件、生活指導1件であった。身体部位別件数は196件(練習・壮行試合:51件、遠征:145件)で練習は肩・肘関節、遠征では肩・肘関節だけでなく手指・股関節・大腿・下腿も多かった。<BR>【考察】<BR>1)感染予防:機内では感染対策としてマスクの配布・着用を実施。遠征2日目に選手1人が喉痛を訴えたので、全選手に夜間用のミネラルウォーターを2本に増加、うがい薬・マスクを2日分配布。乾燥防止に就寝前に浴槽への湯張りを指示。その後、感染の悪化・発症はなかった。2) 介入件数・選手との会話の増加:遠征に入ると介入件数・選手との会話が多くなり、食事量が少ないと声も挙がったため夜食にバナナを2本配り対応。遠征では肉料理が多かったため摂取カロリーは足りていたと思われるが、野菜・米が少ないことから腹持ちがしなかった可能性が考えられた。3)野手コンディショニング介入回数増加:遠征時の平均湿度18%のグランドは非常に固く、芝生がない捕手・内野手への疲労が蓄積したと予測した。尚、介入した全選手は日米親善試合には復帰した。<BR>【海外遠征の課題】<BR>食事・設備改善だけでなく綿密な遠征日程を把握した上で僅かな時間をどのように有効活用をし、選手のケアにあたるか検討の必要性を感じた。また、遠征後に選手・監督から感謝の言葉を頂いたが、個人的な技術等へのスキルアップを更に図っていきたい。最後に、遠征に帯同させて頂き都高野連・米国の役員に対し心より感謝を申し上げます。